恋する狐

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本書は狐などの物の怪が出てくるため怪異モノかと思ったら「恋する」というタイトルを冠している通り、怪異モノでありながら、恋愛・ハートフルの要素も盛り込まれた短編集である。

物の怪というと怖い印象を持ってしまうのだが、本書に出てくる物の怪はいずれもいたずら好きでありながら憎めないような印象を持ってしまう。怪談のようでいながら感動ものの小説を読んでいるような感じがしてならなかったため、ある種の違和感を持ってしまうのだが、この違和感自体も良い意味での「違和感」があるので、小説の中でも斬新さが溢れていたと言っても過言ではない。

ちなみに本書にて取り上げている作品は、狐との恋愛を描いた、タイトルとなっている「恋する狐」の他に、小鬼が登場する「箱の中」、鵺(ぬえ:伝説上の怪獣。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎に、声はトラツグミに似ていた)が出てくる「鵺のいる場所」など全9編から構成されている。

主人公はいずれも与謝蕪村で統一されているが、登場する怪異がいずれも異なっており、どれも憎めないキャラクターなのが面白い。そのためどれが印象が良いのかと言うと、甲乙付け難く、なおかつどのような時に読みたいのかというTPOも異なるので比較は難しい。

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