突然、僕は殺人犯にされた~ネット中傷被害を受けた10年間

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私自身ブログやSNSなどを持っており、日々更新を行っている身である。ここ最近ではそういったものの発達によって誰にでも容易に情報を発信することができたのだが、新たなリスクも発生した。それは炎上もあれば、ネットにおける中傷、殺人予告といったものである。そういったものが出た場合は刑法上「名誉毀損」にあたり、刑事・民事両方から訴えることができる。ほかにも殺人予告の場合は場合によるが「脅迫罪」や「威力業務妨害罪」などで刑事的に訴えることができる。それなのに今もなお中傷や殺人予告は日常のごとく起こっている。
本書は芸人であるスマイリーキクチ氏が10年物前から「殺人犯」として中傷記事を書かれ、その中で心に深い傷を負ってしまったこと、そしてそこから回復したことについて綴っている。

第一章「突然の誹謗中傷」
著者が誹謗中傷に遭い始めたのは1999年の夏、とある掲示板サイトで殺人犯と書かれているのを所属事務所のマネージャーが発見して、本人に知らされたことにある。もちろん本人にはそのような心当たりすらなく、公式にも噂を否定した。しかし著者本人の知らぬ間にとある掲示板サイトなどで噂は肥大し、中傷記事はもちろんのこと、犯行予告らしき記載も存在したという。しかも著者本人もこの記事に対して深く傷つき、トラウマになってしまった。所属事務所も掲示板サイトの管理者あてに削除要請したのだが相手にされなかった。これが約5年間も続いた。これまでは「掲示板サイト」だけの範囲内であった。

第二章「謎の本」
しかし2006年著者が番組に出演したあとに、掲示板サイトに記載されているような中傷の電話が所属事務所に来るようになった。そのことにより著者のあったトラウマが再発することになったしまった。「人の噂も七十五日」ということわざがあって、もうすでに数年たっているので消えているのかと思ったのが、燃え続けているどころか、さらに燃え盛っているような状況になってしまった。事実無根であるにもかかわらずである。しかし著者も自身の情報発信のためにブログを解説したのだが、掲示板サイトに書いてあった中傷コメントが集中し、炎上した。しかしそのブログの運営会社と連携を取って、何とか事なきを得た。
しかし本章の「謎の本」は著者本人がサイトで出てきて、中古として購入したのだが、その掲示板サイトに書かれているような内容が書かれていたという。しかも取材源を一切明かさずに。そして著者は事実無根のことについて警察に問いただしたのだが、相手にすらされなかった。

第三章「ひとすじの光明」
このような状況にようやく打破する光明が見えた。それは名誉棄損罪・脅迫罪のダブルで訴えることができるのだという。そのことを知った著者は粘り強く警察に赴いた。そして警察も重い腰を上げて捜査に踏み切った。2008年のことである。約9年もの間事実無根の中傷や殺人予告、脅迫などのコメントから解放され、ようやく正体が判明される時が来た。

第四章「正体判明」
2008年の暮れ、ようやく正体が明らかになり、ついに誹謗中傷の書き込みを行った犯人が特定されることになった。著者の予想では小さく取り上げられる考えだったのだが、実際にはスポーツ紙の一面にて大きく取り上げられた。その理由としては有名人というよりも、ブログや掲示板における誹謗中傷記事の摘発が史上初であることが重なってそうなった。事態はこれで収束したと思っていた。しかし…

第五章は「重圧、そして新たなる敵」
誹謗中傷はもちろんのこと脅迫など悪意ある記事はやむことはなかった。むしろ新たなる書き込みが増えていった。だが、今回は警察の全面協力もあり、捜査は進んでいった。その「新たなる敵」の存在、それは本来であれば正義という名のもとに勧善懲悪をする機関の存在だった。その機関とやり取りを進めていくうちに機関の人は歯切れが悪くなり、ようやく光明が見えたかと思ったら一気に「失望」の底へと叩き落された。

第六章で「スゴロク」
著者曰く、この一連の動きはまるで「スゴロク」のようであるという。「中傷」から「否定」、「警察」から「断念」、「本気」から「光明」でゴールかと思ったら、その先には「失望」。最終的に虚無感しかなくなった著者は今回の一連のことを振り返りながら、この事件をきっかけに私たちに知っておいてほしいこと、そして著者のようにならないでほしいという願いがある。

今までネットに関する事件は数多くあったのだが、掲示板やブログによる誹謗中傷に関してのことは著者の事件以前は皆無に等しかった。しかし隣国・韓国では誹謗中傷記事を理由に自殺する有名人も出てきている。誹謗中傷記事についてようやく前例ができ、検挙者も出てきている。もちろんこれはまだまだ課題は残っているのだが、この事件をきっかけに、ネットの世界では無法地帯ではない、そのことを知ることが重要であるし、その轍を作った著者はまさに「勇者」といえる。

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