台湾よ、ありがとう(多謝!台湾)―白色テロ見聞体験記

日本の台湾の関係ほど親密かつ友好的なものはない。しかし国交自体は1974年の日中国交正常化以降断絶しているのだが、「国交」と言う言葉を越えたものが日本と台湾の間には存在する。現実として2011年に起こった東日本大震災にて海外で最も多くの義援金を受けた国として台湾が挙げられる。その額は何と200億円以上に上ると言われた。もちろん1999年に起こった台湾大地震(921地震)でも日本はいち早く支援に動いたことで知られている。

そういった日本と台湾の関係は良好であるが、他にも台湾民主化のきっかけを作ったのは日本人だったという。それが本書の著者小林正成氏が行ったことである。いったい何を行ったのかというと1971年のことである。当時は蒋介石率いる国民党の一党独裁の時代だが、その時に台北市内のビルから気球を打ち上げて、台湾民主化・独立をうたったビラを散布したのだという。当時の台湾は独裁時代であると同時に白色テロが起こっていた時代だった。その時は逮捕され、間もなく出獄されたがそれでも直、民主化への運動を諦めずに、続けて行った結果、台湾の民主化はかなった。あとは独立だが、これについては現在進行形で行動を起こしているのだという。

その著者が台湾に訪れ、白色テロを見聞したときのこと、民主化運動など台湾に関わった歴史すべてを綴っているのが本書である。