金持ちになる人の財布、貧乏になる人の財布

本書は財布に限った話ではない。実際に財布に限らずありとあらゆる習慣を持つことによって金持ちになるかどうかが決まる。本書は表紙から見ると「片づけ」がヒントとなるのだが、具体的にはどのような「片づけ」をする必要があるのか、そしてお金が貯まらないのはどうしてなのかそのメカニズムについても取り上げている。

Part1「お金が貯まらないのはなぜ‽」
以前「年収1000万円でも貧乏」と呼ばれるような記事を目にしたことがある。年収1000万円というと社会的にもそれなりの地位にいる人であり、それだけ見合った収入をもらっていることから裕福だろうという固定観念をもっていたのだが、実際のところまったくの逆で、それだけの収入があっても、収入を上回る消費をしてしまっていることから消費者金融で借金をしたり、ワーキングプアのような状態になってしまうようなことがある。逆に言うと年収が低い人でも貯金をコツコツし続け1000万円の貯金を持つことができた方もいる(私の近しい人だが)。なぜそうなってしまうのか、お金がたまるのは収入の多い・少ないは関係ないと言える。ではどこに違いがあるのかというと支出をどのようにコントロールしているか、そして「貯金理論」を持っているかどうかにある。特に注目すべきなのは「支出のコントロール」である。

Part2「なぜ片づけるとお金が貯まるのか‽」
ではどうやって「支出のコントロール」をするのか、それは家計簿をつけることにあるのだが、いきなり家計簿をつけても三日坊主にしかならない。しかしその前段階としてモノを片づけることにある。実際に無駄遣いをしている人の多くは部屋が片づいていない、禁煙や禁酒をしても三日坊主に終わってしまうのもまた「片づけ」に絡んでいる。もっと言うと無料でもモノをもらえるこの時代、モノが増え続けていくのもある。そう考えていくとモノがどこにあるのか把握し、処分していく必要がある。もちろん部屋の居心地もモノの残り方によって変わるし、出費自体も変わっていく、そこにも本章で紹介されるメカニズムがある。

Part3「まずは財布を片づけよう」
片づけるにしてもいきなり部屋全体を片づけるとなると部屋にもよるのだが何日もかかってしまう。そのため、まずは手近なところからやり始める必要がある。お金と直接かかわっている財布が最初に組まれているのもそのためである。もっとも財布はお金だけではなく、レシート、ポイントカードやクレジットカードなどのカードを使っているかどうかのチェックにもなる。レシートの管理からカードの管理、さらにはお札の入れ方から財布の選び方に至るまで気を使ってみるとお金のありがたみもよくわかるし、お金のコントロールもしやすくなる。

Part4「机の上を「片づけの聖地」にしよう」
机の上で仕事をする方も多いのだが、あたりを見回してみると本当の意味で必要なのかどうか疑問に思うような品物も出てくる。それらのモノをいかにして片づけられるのかが仕事に集中できるかどうかの伏線になってくる。もちろん家のなかでも「机」は重要な要素であり、日記を書いたり、家計簿をつけたり、資格を取得したりできるツールとして机を持つ必要があるという。もちろん机の整理・整頓の重要性についても説いている。

Part5「部屋がスッキリする整理・整頓の技術」
片づけそのものは「捨てる」所から始まる。そう書くと「なんてもったいない!」と叫ぶ人がいるのだが、実際にモノをため込んでいると行動も起こしづらくなり、なんといっても自分自身部屋にいたくなくなってしまう。そのため物を捨てることにより心の重荷が軽くなり、行動を起こしやすくなり、自分自身モノに対する考え方も変わってくる。それを如実に表すのが「部屋の片づけ」であり、「モノを捨てる」という話である。

こう読むと、タイトルは「お金がたまるようになる片づけ術」という本になるのではないかと思ってしまう。しかし冒頭、および第1章で書いたように金持ち・貧乏は単純に年収の高い・低いで見定めるのではなく、むしろお金をコントロールできているかどうかによる。その「コントロール」の根源が部屋のなかであり、財布の中などそれがきちんと片付いているのか管理はできているのかというのにかかっている。