モーツァルトを「造った」男─ケッヘルと同時代のウィーン

私自身クラシック音楽を鑑賞する趣味があるのでヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(以下:モーツァルト)については何曲か知っているし、生涯について数多くの評伝があり、中には映画化されたものまである。「神童」や「天才」というものを欲しいままにしてきたモーツァルトであるが、実際にそれを有名に仕立て上げた立役者が存在するという。

その男名前は「ルートヴィヒ・フォン・ケッヘル(以下:ケッヘル)」。ケッヘルもモーツァルトと同じ作曲家もあるのだが、他にも音楽学者・植物学者・鉱物学者・教育者とアリと亜あらゆる学問に精通していた。取り分け最も有名にさせたのは「音楽学者」としての側面であるが、具体的には「編纂(へんさん)者」と言った方が良いのかも知れない。というのはケッヘルとモーツァルトは作曲家という関連性ではなく、ケッヘルの行った功績そのものが後のモーツァルトを現在まで語り継がれてきた存在とした。

本書はケッヘルの功績と共に、なぜモーツァルトが現在まで語り継がれたのかと言うことについて考察を行っている。キーワードとしては「ケッヘル番号」と言うのがあるのだが、これはクラシックでよく使われる作品番号のようなものである。