窓の向こうのガーシュウィン

本書のタイトルにガーシュウィンがいるが、ガーシュウィンというと、自分自身吹奏楽をやっていたせいか、歌劇「ポーギーとベス」や「ラプソディー・イン・ブルー」が挙げられる。

ちなみにガーシュウィンという名を持った音楽家は2人おり、前述の曲を作曲したジョージ・ガーシュウィン、ジョージの実兄で、弟と同じくポップスやクラシック音楽に旋風を吹かせた作詞家のアイラ・ガーシュウィンがいる。

本書のいう「ガーシュウィン」はジョージ・ガーシュウィンの事を言い、本書で取り上げている中に「エラ・イン・ベルリン」が挙げられるのだが、これはジャズシンガーのエラ・フィッツジェラルドが歌ったアルバムのことを指しており、その中にジョージ・ガーシュウィンの「サマータイム」という歌が収録されている事から、本書のタイトルに「ガーシュウィン」と冠したと言える。

ガーシュウィンの話で長くなってしまったので本書の話に戻す。未熟児として生まれると言った境遇にあり、欠落感を持った女性がいる。その女性は介護ヘルパーの仕事を手伝いながら、欠落していた心を埋める日常を過ごしたという一冊である。

日常系と呼ばれる様な一冊なのだが、日常系の中にも所々ちりばめられている彼女の変化が何とも言えない。ある種自分自身も小説の世界に入り込む、いわゆる「デジャヴ」の感覚に陥ってしまう。