ライオット・パーティーへようこそ

世界に目を向けてみると、エジプトをはじめ中東諸国、ヨーロッパ・アメリカ、さらには台湾や香港などでデモが起こっている。そのデモが暴徒化して「暴動」に発展することもしばしばある。日本でもデモはほぼ毎日の様に日本中の至る所で行われているのだが、そもそもの本質が異なる。

日本ではプロ市民による市民団体などおおよそ30代~50代ほどの中高年の方々が主導する場合がほとんどなのだが、前者は10~20代の若者たちが多く、それもFacebookなどを使って呼び込むことが多いと言う。

最も日本では「暴動」と呼ばれる様な事は無いのだが、もしも残酷な現実から希望を失った若者たちが、不穏な事件を機に悲しみと怒りを爆発し、暴動を起こしたらいったいどうなるのか。本書はその「もしも」を青春小説に見立てている。

周囲の若者たちが理不尽で残酷な現実に巻き込まれながら怒りや悲しみを積み上げる姿を映し出し、それが暴動になって爆発する。その爆発までのプロセスでも「青春」を映し出しながら、なおかつ主役の男女がそれぞれの純粋なる「恋愛」が芽生え、育んでいくという作品と言える。そう考えると、世界の「終わり」と「始まり」を二つ楽しめることのできる一冊と行っても過言ではない。