憧れの女の子

本書のタイトルを見ると「憧れている女の子がいる」というように見えてしまうのだが、表題作はそうでは無く「女の子」を持つ事に憧れるという意味合いでつけられている。本書はもうすぐ三人目の子供を産もうとする母親を主人公にした夫婦を描いている表題作の他に、短編が5つ収録されている。

特に本書で強調しているのは「男女」の風景であるが、子供の産み分けもあれば、夫婦仲、さらには婚約関係、恋愛、そして親子と様々な「男女」を描いている。「男女」と考えると恋愛小説を連想してしまうのだが、本書は恋愛に限ったことではない。もちろん恋愛を取り上げた短編は存在するが、あくまで「男女」に限っている。

様々な男女について女性の視点でも描くこともあり、時には男性の視点から描くこともある。それぞれ視点に共感できる男性・女性とも受け入れられる。「万人受けができる」と言ったらそれまでになってしまうのだが、小説初心者にとっても受け入れられやすい一冊と言える。