献灯使

本書のタイトルは「けんとうし」と呼ぶ。ただ「けんとうし」というと、どうも「遣唐使」を連想してしまうのだが、本書はあくまでは「献灯使」として扱っている。

本書は表題作の他にも「韋駄天どこまでも」「不死の島」「彼岸」「動物たちのバベル」と言った作品が収録されている短編集である。

中でも注目すべきは表題作の「献灯士」であるが、その「献灯」について辞書で引いてみると、

「社寺・神仏に灯明(とうみょう)を奉納すること。また、その灯明」「広辞苑 第六版」より)

とある。物語としては地震などの大災害後の舞台をモチーフにしている近未来を描いているのだが、絶望にまみれた日本の中で体が弱い主人公は日本のためにどのような光明を求めるのかを海外まで探し求める旅に出たと言うところから物語は始まる。鎖国政策を行った場所から海を渡った主人公は何を見出していくのかと言う姿が非常に印象的である。

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