戦わない生き方

著者の横山様より献本御礼。
本書のタイトルに出会った時、「戦わずして勝つ」と言う言葉を連想した。この言葉のルーツには、孫子の兵法にて、

「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(孫子謀攻篇より)

にある。もちろん勝つ・負けるどちらにしても「戦わない」ためには戦略を練り、実践する必要がある。著者自信も「戦わない」ことを決めたとき、どのような「戦わない戦略」を組み立ててきたのか、本書は「戦わない」ことを念頭にした生き方を提示している。

1章「「戦い」とは―私が戦い続けてきた結果―」
著者は今年の3月末に独立するまで会社員として働き続けた。その中で上司や同僚、取引先やライバル会社などさまざまな「戦い」を続けていった。その戦いの中で勝ったり負けたり繰り返してきたのだが、その先にあるのは大きな「代償」があったことに気づく。

2章「戦わないための準備―アプローチを変える方法―」
大きな代償を支払わされた著者は「戦わない」方針にした。さて、「戦わない」ためにはどうしたらよいのか、議論をするにしてもコミュニケーションをとるにしてもどういったアプローチ・対処を行っていけば良いのかを提示している。もちろんありとあらゆる状況で「戦わない」わけでは無いという。

3章「与える生き方―与えることの意味と実践―」
「戦わない」事を念頭に置いて生きる術としては、アプローチや対処方法を変えるほかに「与える」事を念頭に置く必要がある。しかしどのようにして与えたら良いのか分からない方もいる。ではどのようにして「与える」生き方をしたら良いのか、「喜び」はもちろんのこと、相手にとって重要な存在だと認識できるような「目に見えないもの」を与えるなどがある。

4章「それでも戦いはある―相手はまだ気づいていない―」
「戦わない」と念頭に置いたとしても、相手によっては戦わざるを得ないような状況に陥ってしまう。それは上司との「戦い」になるのだが、上司からどのような傾向にあるようであれば、どうやって対処をしたら良いのかについて提示している。

5章「「戦わない」生き方―究極の成功法則―」
「戦わない」生き方をするにはどうしたら良いのか、「ストレス」や「チャレンジ」「感謝」「意志力」「沈黙」「怒り」など様々な角度からコントロールを行っていくことによって戦わずして成功につなげる事ができる。

「戦う」事によって自分自身を消耗するのでは無く、夢や目標の達成のために「戦わない」事を選ぶ事が大切である。「戦わずして勝つ」ことは尊いものであるが、それを目指すこともまた尊いものである。その方法は決して難しい方法では無く、むしろ考え方・方法を改めることによって道を開く事ができる。それに気がつき、実践することのできるきっかけとなるのが本書と言える。