「ぐずぐず」の理由

予め断っておくが、本書は「ぐずぐず」している状況を理解し、対処するような本ではない。鈍くさかったり、ゆっくりしたりしている様子を、オノマトペとして「ぐずぐず」と表現しているのだが、いったい何故なのかと言うことを解き明かしている。もっとも「ぐずぐず」に似たオノマトペは数多く存在しており、各の意味を持っている。では「ぐずぐず」のようなオノマトペが日本語として果たした役割とは何か、そしてオノマトペは日本語に対してどのような効力を持っているのか、それについて考察を行っている。

Ⅰ.「声のふるまい オノマトペのさまざまな顔」
本章では表題である「ぐずぐず」の他にも代表的なものとして、「ぎりぎり」「ちぐはぐ」「ゆらゆら」「ふわふわ」「ほっこり」「ぽろぽろ」「なよなよ」「にやにや」「ねちゃねちゃ」が挙げられている。同じ言葉の繰り返しだけなのかと思っていたが「ちぐはぐ」や「ほっこり」が取り上げられているのが特徴的である。なかでも「ちぐはぐ」はオノマトペだったことは個人的にも新発見だった。
本章ではそれぞれの意味も解説されているのだが、それぞれのオノマトペについて、異なる「音」が存在しており、そのメカニズムについても言及している。

Ⅱ.「音の絵 オノマトペの構造」
「オノマトペ」という言葉をしきりに使っているのだが、そもそも「オノマトペ」とはいったいどのようなものか。辞書で調べてみると、

「擬音語・擬声語・擬態語を包括的にいう語。」「大辞林 第三版」より)

とある。また、本章によるとオノマトペはドイツ語では「音の絵」と呼ばれている。元々音そのものを言葉として描いていると言っても過言ではない。しかし表現によっては肯定的に捉えられたり、否定的に捉えられたりすることもまたオノマトペの特色と言える。
また、オノマトペは感覚としてそのまま表現されることもあるが、第一章にも書いたとおり、表現それぞれに意味を持っている。とはいえど、かしこまった形式・場合によってはオノマトペそのものの表現ができない。というのは元々オノマトペが「かしこまらない言葉」として扱われているからである。

本書のあとがきに

「言葉はこころの繊維であるとおもう。言葉がこころの襞(ひだ)をつくる。言葉なくしては、ひとはじぶんが浸されている感情の何であるかも、たぶん理解できない」(p.243より)

と書かれている。言葉は心そのものの表現としてあるのだという。その意味で「オノマトペ」が出てきたことはごく自然なのかもしれない。しかしオノマトペは正しくない表現として軽視する人もいるのだが、今一度「オノマトペ」がどのようにして成り立ったのか知る意味で本書は役に立つ。

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