二重洗脳―依存症の謎を解く

「洗脳」と言うとなにやら催眠術やカルトといったような要素を持っているようなものを連想してしまうのだが、「洗脳」される要素は、ゲームや食べ物、たばこ、仕事、自分探しなどごく身近な感情やことによって引き起こしてしまう、いわゆる「ハマる」ということが、洗脳をしてしまうと言う。

しかしそういったことで「洗脳」を起こしてしまうのか、そしてどう言った悪影響を及ぼすのか、そして対処方法はいったい何なのか、そのことについて取り上げたのが本書である。

STEP1「脳は誰でも簡単にハマってしまう」
人間には、客観的に物事を眺める「メタ認知」と呼ばれるものがある。しかしメタ認知がいつでもできるほど人間は欲望に弱く、なおかつ依存してしまう体質にある。「依存」と言うと酒・たばこ・異性・薬物・仕事などが挙げられるのだが、「依存」によって心理的・生理的な悪影響を及ぼす。その依存の引き金となるのは「魔が差す」などといった「罠」がある。その「罠」にハマったことによって「洗脳」を引き起こしてしまう。

STEP2「二重洗脳という仕掛け」
では、本書のタイトルにある「二重洗脳」とはいったいどのようなものなのだろうか。本章にて明かされているが、それは、

「『ごほうび』と『恐怖』」(p.68)

である。「ごほうび」は恩恵の他に、ストレス解消と言ったものが挙げられるのだが、それと引換えに「依存」と言う名の「恐怖」がつきまとってしまう。その「恐怖」は依存だの他にカルト集団やDVなどにある「脅迫」と言ったものも挙げられる。

STEP3「失敗の理由判明!なぜ抜け出せないのか?」
「わかっちゃいるけどやめられない」
本章を読んでこの言葉が脳裏によぎってしまう。色々な歌に出てくる歌詞なのだが、依存にしても洗脳にしても同じことが言えるのかもしれない。もっともこういった言葉は「意志が弱い」と言う言葉で括られるのだが、本章ではそれは真っ赤なウソであると言うことを指摘しており、むしろ「依存症」によるものであると指摘している。もちろんタバコや酒など依存してしまうものはあるのだが、自分自身の「意志」でもって脱却するのは非常に難しい。

STEP4「ハマった脳をリセットする方法」
ハマった、いわゆる「依存した」状態から抜け出すためにはどうしたらよいのか、それは「気づき」を得ること、「みんなも一緒だ」という気持ちになること、「べき」思考から脱却すること、「フラッシュバック対応」などの方法を伝授している。
「依存症」になりやすいようなものはごく身近に存在しており、それらをビジネスにしている方々もいる。その「依存症」からいかにして「気づき」、対処するか、本書でもって示してくれる、そういった一冊である。