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2015年1月

愛と人生

かつて「男はつらいよ」と言う作品があった。その主人公である車寅次郎役には、長年渥美清がやっていた。その作品で当時子役だった秀吉は、寅さんと共に行方不明の母を探す旅に出たという一冊である。本書では「寅さん小説」という見慣れない分野にて定義づけられている。 そう考えると本書は「男はつらいよ」を知っている・知らないで評価は大きく分かれる。知っている方々であれば寅さんや秀吉を想像することができ、ストーリー […]

コスプレ―なぜ日本人は制服が好きなのか

コスプレというと昨年末に行われたコミックマーケットで行われたアニメやマンガキャラクターの扮装をイメージしてしまうのだが、それだけではない。学生など職業における「制服」もまた「コスプレ」と呼ばれるという。しかしそれは半強制的に着せられる部分もあれば、制服によって「その役になり切る」部分もあるのだという。本書は日本人の制服好きなのか、そして制服はどのような効用があるのか、そのことについて取り上げている […]

笑いの日本文化―「烏滸の者」はどこへ消えたのか?

「笑い」というと日本では、落語・漫才・喜劇などが挙げられる。そう考えると日本文化には必ずと言っても良いほど「笑い」が根付いている。しかし本書は漫才や落語を取り上げている訳では無い。「烏滸(おこ:おろかなこと。ばか。たわけ。)の者」について取り上げているが、簡単に言えば、落語の世界で言う所の「与太郎」、のような存在なのだが、元々民俗学者の柳田國男が、 「進んで人を笑わせ、楽しませる者のことであり、さ […]

英語以前に身に付けたいこと

今は沈静化しつつあるのだが、2~3年ほど前にある企業が「英語公用語化」する事で、ビジネスに限らず、経済界、さらには日本全体で大論争となった。私自身は英語教育については賛成の立場であるが、それ以前にやることがあるのでは、という疑問を持っている。 著者もその一人で、英語以前に学ぶべきことがあることがあるのだという。具体的にどのようなものなのか、そのことについて紐解いているのが本書である。 第1章「脱・ […]

暴走する脳科学~哲学・倫理学からの批判的検討~

脳科学はこれまで当ブログでも、書評を行ってきた。もちろん脳科学という分野を説いた本には玉石混淆であることはもはや書くまでもない。しかしその脳科学に対し、哲学・倫理学の観点から批判する本が出てきた。哲学・倫理学となると、生物学や科学などとの対立は今も昔もある。たとえば「生命」に関してが最も良い例で、クローン人間や遺伝子組み替えなどが対立軸の要素となっている。 さて、脳科学における「科学」と「哲学・倫 […]

なぜ、横浜中華街に人が集まるのか

京浜東北・根岸線の石川町駅を降りてすぐのところに「横浜中華街」がある。私自身も仕事・プライベートの両方で何度も足を踏み入れたことがあるのだが、横浜にいながら、まるで中国にいるような空間になる。そこにはもちろんコンビニもあるのだが、ほとんどの店員が中国人であるから、コンビニもまた中華街の雰囲気が浸透している。 中華街は、平日になると仕事でもサラリーマンで人が集まり、休日になると観光客で平日以上に人が […]

一流の研究者に求められる資質

昨年最も話題となったのは、理研と小保方晴子氏の話題である。昨年のはじめにSTAP細胞が発見され、話題となったのだが、論文の中の画像引用について疑惑が生じ、一転批判の的となった。その後再検証を行った結果、STAP細胞は見つからず、結局小保方氏は理研を退職し、いったんは終結となった。 この一連の経緯を見ていて思ったのは、本書のタイトルにある研究者の資質って何なのか、そして科学ジャーナリズムとは何なのか […]

流行歌の誕生―「カチューシャの唄」とその時代

本書のサブタイトルにある「カチューシャの唄」は1914年(大正3年)に発売され、大ヒットした。そのこともあり、歌詞の中にある「カチューシャかわいや わかれのつらさ」が流行語にもなった。昨年、その発売からちょうど100年を迎えたと言うことから、流行歌の歴史はどのようなものだったのか、その「カチューシャの唄」が発売された後、流行歌になった「ゴンドラの唄」などとともに考察を行っている。 ・「カチューシャ […]

「忘れる」力

私は忘れっぽい人であるのだが、「忘れる」ということはあながち悪いことではないという。むしろ忘れることを意識することによって新しいものを創り出すことができ、考えることを旅のごとく楽しむことができる。 その「忘れる力」とは何か、その意味と仕組みについて本書を通じて読み解く。 第1部「創るチカラ」 「つくる」という言葉を漢字に変換してみると「作る」「造る」「創る」とある。その中でも「創る」ことについて、 […]

評伝 服部良一~日本ジャズ&ポップス史

戦後歌謡曲の根幹を支えた人物は数多くいるのだが、その中でも燦然と輝く存在として作曲家の服部良一が挙げられる。有名な曲を挙げると戦前では「別れのブルース」「蘇州夜曲」「一杯のコーヒーから」、戦後には「東京ブギウギ」「夜のプラットホーム」「青い山脈」などが挙げられる。数多くの曲を遺し、日本歌謡界の礎を作った作曲者はどのような生涯をたどっていったのか、本書はその評伝という形で取り上げている。 Ⅰ.「大阪 […]