大相撲大変

いよいよ明日、大相撲初場所が始まる。白鵬が新記録となる33回目の優勝を飾るのか、はたまた他の横綱勢・大関勢が奮起をするのか、そして日本人力士の活躍はどうなるのか、話題はてんこ盛りであるのだが、そもそも大相撲の世界はここ20年あたりで大きな変化を遂げてきた。初めて外国人横綱・曙が誕生したのは1993年3月、今から22年も前のことである。その後日本人横綱が2人誕生して以降、武蔵丸からはずっと外国人の横綱が連続して誕生している。その現状を「大変」と言う人も少なくない。しかし「大変」は大きな変化を持っているのではないか、とも言える。では外国人力士が角界にどのような影響を及ぼしているのか、そしてとりわけ活躍が際立っているモンゴル出身力士の秘密とは何か、本書にて解き明かしている。

第一章「モンゴル出身力士と、その心もよう」
モンゴル出身力士が台頭してきたのは、朝青龍が横綱になってからの事である。朝青龍の活躍によりモンゴル出身力士が続々と増え、現在では3横綱全員がモンゴル出身というのだから、モンゴル出身力士の「全盛」と言っても過言ではない。中でも白鵬は最初にも書いたとおり最多優勝記録タイを持ており、連勝記録も双葉山の69連勝に次ぐ、63連勝を持っている。

第二章「朝青龍の底ヂカラ」
白鵬が台頭する前は朝青龍の黄金時代だった。しかし、土俵内外で問題行動を起こし、起こす度に各界どころか、メディアがこぞって騒ぎ、話題となった。しかし本章では、そもそも朝青龍はどのような人生を歩んでいったのか、本章のタイトルにある底ヂカラのルーツについて迫っている。

第三章「大切なことは、外国人力士が教えてくれた」
モンゴルをはじめとした外国人力士の勢いが止まらない。その外国人力士にあって、日本人力士に足りないものとはいったい何なのか、その中で「基本」や「環境」が大きなカギとなる。

第四章「日本人力士、こうすれば強くなる!」
日本人力士で活躍しているというと遠藤や稀勢の里など数えるくらいである。その日本人力士が強くなり、外国人力士に拮抗するためにはどうしたらよいのか、その要素として「速さ」「研究」「賞金」が挙げられる。

第五章「モンゴル出身力士に聞く」
モンゴル出身力士のはしりとなったのは、1992年に誕生した旭鷲山・旭天鵬・旭天山らが挙げられる。この時は若貴や曙時代であり、その後武蔵丸時代である中で優勝は取れないまでも奮闘していた。そこからモンゴル出身力士が次々と誕生し、最初、第一章にも書いたとおりモンゴル出身力士の強さが際立つこととなった。本章では白鵬のインタビューを中心に取り上げている。

第六章「モンゴルという国」
なぜモンゴル出身力士が強いのか、そのルーツを探るために著者はモンゴルへと赴いた。著者が感じたモンゴルの風土と文化について触れつつ、冒頭に書いた理由について迫っている。

第七章「観客が相撲の魅力を高める」
相撲の魅力を高めるのは何も相撲力士ばかりではない。観客もまた相撲を盛り上げる立役者の一人でもある。もちろん力士のファンサービスも大事にすることを提唱しているが、ファンもまた国技館など、大相撲の会場に足を運ぶことを提示している。

大相撲初場所が開催されるのに先立って、本書を手に取ったのだが、元々出版されたのは2006年。ちょうど朝青龍が全盛の時であり、なおかつ白鵬が大関になるかならないかの時である。あれから9年、モンゴル出身力士の勢いは止まらず、現在いる3横綱全てがモンゴル出身力士で占めている。この状況の中で外国人力士排除の意見もあるのだが、むしろ外国人力士から日本人力士が学ぶべき事はなんなのかを見いだす必要があるのではないノかという意見を持っていることを考えると9年前に出版したにもかかわらず、今でも通用するところがある。