国防軍とは何か

日本国憲法の第9条には、

「1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」「インターネット六法」より)

とある。つまり日本は相手国と戦うための軍を持つことができないし、交戦権も持っていない。しかし憲法が発効されてからわずか2年で、朝鮮戦争が起こり、GHQの指令により、日本は警察予備態(後の自衛隊)をつくることとなった。今の自衛隊は海外の軍に拮抗するほどの戦力を持っているが、あくまで相手国からの攻撃から守る、いわゆる「自衛」の為の部隊である。
しかし今となっては様々な国による軍事的な脅威にさらされていると言っても過言ではない。そのような状況の中で憲法改正の動きと同時に、「国防軍」を新たにつくる必要がある動きもあるのだが、はたして「国防軍」とはいったいどのような存在なのだろうか。本書は軍事のエキスパート3人が鼎談という形で紐解いている。

第一章「日本が直面している国防上の脅威とは」
日本における国防上の脅威は数多くある。特に隣国の中国・北朝鮮の脅威もあれば、他にもテロが起こる危険性もはらんでいる。さらに目に見えないところで言うと「サイバーテロ」「サイバー戦争」と呼ばれるものも日本で起こる可能性もあるため、「脅威」と言う言葉について例を提示するだけでも数多く存在している。

第二章「既にはじまっている「戦争」」
私自身「第三次世界大戦」はもうすでに始まっていると考えている。しかし第一次・第二次と大きく違う点は、武器による物理的な攻撃ではなく、サイバー上で、機密情報を奪い取る、あるいは改竄するといった、第一章で取り上げた「サイバーテロ」の応酬があたかも戦争の如く争われているという様相から、自衛を行う必要がある。もちろん政治の世界でも「戦争」と言う言葉は切り離すことができない。

第三章「自民党がどうして国防軍を主張しはじめたのか」
元々自民党の目的は自主憲法の制定が最終目標だった。にもかかわらず、55年体制となってから派憲法改正の声はほとんどなく、憲法改正にむけた動きを見せたのは昨年になってからのことだった。もちろん憲法改正論議の中にも「国防軍」を作ることが盛り込まれているが、果たしてどのように変わるのか、今後の改正論議を注視する他ない。

第四章「自衛隊は軍隊か」
自衛隊の論議をする際に本章のような問いは何度も聞かれる。自衛隊自体は軍隊として遜色ないほどの力は備わっている。しかしあくまで「自衛」をするためだけしか法律上できないため、軍隊ではないと答えるしかない。その「法律上」と言うのが大きなネックであり、法律で本当にできないこと、集団的自衛権のように憲法上の解釈でできることなど、複雑に入り組んでいるため、行動自体法律に照らし合わせて行わなければならないというジレンマが自衛隊には存在している。

第五章「国防軍で自衛隊はこう変わる」
では国防軍が作られたとすると、自衛隊はどのように変わるのか、と言うことについて取り上げている。そのためには憲法改正が必要になってくるのだが、軍事的脅威を鑑みると改正するまでには衆参両院で改正案を通し、さらに国民投票も行う必要がある。その前にも改正論議で長い時間をかけて議論を行う必要があるため、膨大な時間がかかる事は明白である。しかし憲法だけではなく、安全保障に関する法律も変えていく必要があるのだが、どれを変えるべきかについても論じている。

第六章「国防軍で日米同盟はどう変わる」
日米同盟に関わる日米安全保障条約は国防軍をつくることになると、変わることになるという。協定の中身というのもあるのだが、他にも協定のあり方、さらにはアジア諸国への影響についても取り上げられる。

第七章「だれが国を守るのか」
国防となると「徴兵制」についての議論がなされる。軍事的な理由の他に、「愛国心」や「モラリズム」とセットにして議論される論者もいる。否定する方の中には「戦争=悪」と捉え、危険な目に遭わせたくないと言うような議論もある。しかし、軍事的な理由から徴兵制は是か非かについて論じている。

憲法改正論議は一昨年頃に活発な議論が為されており、書店でも日本国憲法にまつわる本が数多くあった。第三次安倍政権になり、安倍首相も憲法改正に関する発言をしていたことから、今後国防軍を始め憲法に関する議論は活発化する可能性がある。そのために本書は重要な役割を示している。

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