トイレ掃除の経営学―Strategy as Practiceアプローチからの研究

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本書は経営に関する論文であるのだが、なんといってもタイトルからユニークである。なんと言ってもアプローチが「トイレ掃除」だからである。私自身トイレに限らず掃除が大好きで、仕事で煮詰まったとき、イライラしたときには必ずと言っても良いほど掃除をする。なぜ掃除が大好きなのかというと、高校時代、部活で掃除を教えられた事が挙げられる(吹奏楽部だったが)。
しかし経営として「トイレ掃除」はどのような効果があるのか。その核心をはじめ、「5S」や「掃除」などの効用をもとに取り上げている。

第1章「プラクティスとしてのトイレ掃除―経営戦略論におけるトイレ掃除・5Sの位置付け―」
経営戦略論として、なぜ「掃除」や「5S」が取り上げられるのか、それは掃除などを行うことによって、欧州で用いられている「SAP(Strategy As Practice)」の位置づけとして挙げられているという。そのSAPが経営戦略論に組み込まれているが、どのような位置づけなのか、そのことについて取り上げている。

第2章「5Sの効用」
「5S」は「清掃」「清潔」「整理」「整頓」「しつけ」の頭文字が全て「S」になっていることから表されている。これは業種・企業規模に関わらず使われている。元々「5S」は欧米の製造業における科学的管理法のなかで提唱されてきたのだが、それが日本に伝わり、根付いていった。その「5S」について会社の従業員に対していかにして伝えていくか、年数別の社員それぞれに行い、気づきや感想などを調査し、取り上げている。

第3章「掃除の効用」
次は「掃除」である。掃除と言っても「トイレ掃除」以外の所をフォーカスしたと言ってもいいのかもしれない。しかし企業によっては効率化を重視するあまり、掃除は業者に任せておいて、やらない所も存在するのだが、従業員が掃除を行うことによってどのような効果があるのか、その発見には他人に対する喜びや自分自身に対する楽しさなど「感情」に関する効果があるという。

第4章「トイレ掃除の効用」
本書の核心にある「トイレ掃除」の効果に入ってくる。トイレ掃除を取り入れている企業というと、有名どころではイエローハット、日本電産などが挙げられるのだが、他にも様々な企業にも取り入れられている。そのトイレ掃除にはどのような効果があるのか、もちろん即効性はないものの、「何事も懸命にやらないといけない」という精神が芽生える、あるいは「積極的に、かつ楽しく物事にあたることができる」「自律性が高まる」と言った効果があるという。

第5章「掃除と仕事の関係性」
高校の部活で掃除を教えられたのだが、掃除をする際に、心を磨くだけではなく、「こだわる」と言うことを掃除にて教えられた。もちろん今でも掃除は行っており、今でも自分自身の価値観に根付いている。
では「掃除」と「仕事」ではどのような関係性が見られるのか、実際に仕事の中にも、簡単な「掃除」を行うばかりではなく、仕事そのものを「掃除」に置き換えて考えることができるという。他にも一人で掃除するだけではなく、掃除をする方々が増えていくことによって、掃除がコミュニケーション・ツールとして役立つことができるという。

「トイレ掃除」を行っている企業は少なくないが、なぜ企業は「トイレ掃除」をするのか、それに関したビジネス書はあれど、本書のように研究として取り上げられた本は見たことがなかった。研究であるだけに、掃除・トイレ掃除・5Sを行った企業について従業員の調査を行い、どう言った効果をもたらしたかを示しているだけに斬新、かつユニークな研究に思えてならなかった。

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