ハッピーバースデイ3.11~あの日、被災地で生まれた子どもたちと家族の物語

あの震災から4年を迎えた。復興に向けて歩を進めてはいるものの、未だに傷跡は癒えていない。それだけにもどかしさも感じてしまう。

しかし、悲しみに満ちた震災の中で産声を上げた音がそこにはあった。

それは新たなる命の誕生の音である。

本書は震災前後に生まれた11人の子供の誕生エピソードについて、その前後に起こった震災を交えて紹介している。

もう二度と戻らない失われた命の中で、生まれた命は今もなお生き続けている。震災を乗り越え、そして強く生きろ、そんな思いが込められており、何よりも震災の過酷な環境の中で新しい息吹を守らんとする親をはじめとした周囲の方々の話は、何とも言葉に代えがたかった。

そして今もなお、子供たちは生き続けている。震災の悲しみを乗り越え、力強く生きていけるような名前をもって。

本書は震災の悲しみの最中、生まれた命を見ることにより、命の大切さについて、「これでもか」と言うくらいひしひしと伝わる一冊である。