スリランカの赤い雨 生命は宇宙から飛来するか

「赤い雨」と言うとスリランカで深刻な公害があるのかと思ってしまうのだが、実は宇宙に関係しているという。これについては第1部の第3章にて詳しく取り上げるとするのだが、インドにて隕石が降り、そのことによって未知の細胞のような微粒子によって赤くなったのだという。その「微粒子」とはいったい何なのか、そしてその「微粒子」がもたらす生命のあり方とは何か、そしてそれは生物学、及び宇宙工学にどのような影響をもたらすのか、本書は現在までに解明されている「赤い雨」の正体について迫っている。

第1部「生命のゆりかご、宇宙―パンスペルミア説とアストロバイオロジーの最前線」
序章「地球は宇宙に対して開いている」
生物学における進化は、長らく地球内にて行われるものだと信じられてきた。しかしこの「赤い雨」が出てきたことによってその観念が崩れ去った。宇宙にも生物・有機物が存在しており、それが隕石落下によってもたらされたという。

第1章「スリランカに降った赤い雨」
かつて井伏鱒二「黒い雨」という小説で名を馳せたが、ここで表す「黒い雨」は残留放射能に泥やホコリ・すすなどが含まれた雨のことを指している。他にも「黒い雨」と言われるものがあり、これは石炭や火山灰によってできるものもある(放射能ある・なし関わらず)。また砂漠の微粒子が含まれる「黄色い雨」も地球上にて存在する。
しかし「赤い雨」はどうか。これは現時点にて地球上では確認されていない。一昨日中国にある内モンゴル自治区にて赤く染まった空が観測されたのだが、今回の「赤い雨」とは関係無い。
話を戻す。「黒い雨」や「黄色い雨」は地球上の要因によってできたものであるが、スリランカ・インドで起こった「赤い雨」はそれらとは大きく異なる。ちなみに本章ではスリランカのことについて取り上げられているが、スリランカでは2012年11月13日に降っていることが確認されている。もちろんこの雨は世界中で報道されており、本書を刊行するきっかけにもなった。
ちなみに「黒い雨」「黄色い雨」「赤い雨」ともに雨に異物が混じる状態は共通しており、それを「ファフロツキーズ」と呼ばれる。

第2章「赤い雨という天変地異 2500年の謎」
「ファフロツキーズ」と呼ばれる「赤い雨」など色のついた雨は現在に始まったことではない。本書では統計的に赤い雨を取り上げており、一番古いもので、今から4000年前にも降ったという記録もあるという。そういった「赤い雨」の取り上げ方として「血の雨」もあれば「肉の雨」といったものまであるという。

第3章「インドの赤い雨」
インドでも2001年7月から9月にかけて時々赤い雨が降り、話題となったのだが、後に「ケーララの赤い雨」と呼ばれるようになった。赤い雨が降った後インド政府から調査チームが編成されたが、この時には「地元にある藻類の胞子によるもの」と言われたが、赤い雨が降った5年後にインドのマハトマ・ガンジー大学の2教授による論文にて「地球外から来たものである」と言われ、再びマスコミが注目するようになった。

第4章「赤い雨の凝結核は細胞状物質 現在までの分析結果」
2006年の論文発表以降、現在まででの分析上、2001年に発表された「藻類の胞子説」と2006年の「宇宙からの飛来説」の2つが存在する。その中で本章では実際にスリランカ・インドにおいて降った赤い雨の水を採取し、その中にある細胞を分析している。もちろん本書の冒頭にてその分析を行った「赤い雨」の細胞も取り上げられている。

第5章「パンスペルミア説」
「パンスペルミア説」とは、

「生命の起源に関する仮説のひとつで、生命は宇宙に広く多く存在しており、地球の生命の起源は地球ではなく、他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到達したものであるという説」Wikipediaより)

という。第3・4章で取り上げた「宇宙からの飛来説」に関連づけられるものであり、2006年の論文発表の後、パンスペルミア説に関連づけられた第2論文を発表している(具体的にいつ頃発表されたのか明らかにされていない)。ちなみにパンスペルミア説とはいったい何なのか、そしてその説が歴史的にどのような変遷を辿ってきたのかを取り上げている。

第6章「宇宙は有機物に満ち溢れている」
宇宙には何が存在するのかまったくと言っても良いほど分からなかった。もっと言うと有機物は存在しないのではないか、と言われたほどである。しかし「赤い雨」の分析、及び隕石に関する研究が行われてきたことにより宇宙に有機物が存在していることが明らかになり、本章のタイトルの通りであることが証明づけられた。

第7章「宇宙から見た文明」
その一方で宇宙に生命は存在したのかというと、未だに解明されていない部分も多く「不明である」としか言いようがない。また宇宙に文明が起こったのかについても、そもそも「文明とは何か?」という所から考える必要がある。

第2部「宇宙生命探索の旅―チャンドラ」
第1章「なぜ、生命の源を宇宙に求めるのか?」
第2部では著者と哲学博士・理学博士のチャンドラ・ウィックラマシンゲ氏(以下:ウィックラマンシゲ氏)との対談が収録されている。元々微粒子研究の権威であり、今回の「赤い雨」についても関心を示している。最初に議論されたのは、宇宙と生命の源についてであるが、元々地球上に生命が生まれたのは40億年も前のことである。その40億年前に生命がどのようにして生まれたのか、それはまだまだ定まっていない状況にある。本章の様に「宇宙の塵」に由来している説も、諸説あるうちの一つである。

第2章「赤い雨」
ウィックラマンシゲ氏が赤い雨と出会ったのは2001年、ちょうど「ケーララの赤い雨」が起こった時期である。その時期にインドの教授から手紙をもらって研究をスタートしたのだという。もちろん2006年の発表された「宇宙からの飛来説」の立証にも関与している。

第3章「宇宙生命と文明」
最後は第1部の第7章にて言及のあった、「宇宙と文明」についてである。その文明は人間によってつくられたのかというと、本章の議論から見ると、生物の誕生とともに、文明が生まれた。つまり文明は生物の進化そのものであるという。
その生物の誕生・進化に関わっているものとして諸説あるが、本章では宇宙から隕石に伴ってウィルスが地球にやってきて、それが生命になったという「ウィルス進化説」などを引き合いに出している。

「赤い雨」の現象は宇宙と地球、さらには生命の誕生・進化に大きな風穴を開けたと言われても過言ではない。そう考えると本書で取り上げられている「赤い雨」は異常現象だけで片付けることはできない。まだまだ議論仕切れていない部分、分析し切れていない部分はあれど、「赤い雨」によって私たちにもたらされたもの・ことは大きいということを本書でもって知らしめたと言える。

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