わたしをさがして

SF

「兄弟姉妹」
この関係は血のつながる・つながらないに関わらず近い存在である。しかし近すぎるあまりに忌み嫌う、そういう傾向に陥ることも往々にしてある。ただ距離が近いということから親近感も存在する。その相対する感情が交錯し、葛藤が生まれる。

本書は姉妹の物語であるが、才色兼備の姉が失踪した姉を探すために主人公は旅に出た。姉探しの旅なのだが、同時に「自分探しの旅」でもあった。その度の最中、自分自身の持っていた姉に対する感情、姉との日々、そして姉と自分との比較、まさに「思春期の女の子」の姿を描ききっていた。

また旅も「ファンタジー」とあるだけあって、どこか幻想的な雰囲気を醸していた。それと同時に旅が進につれて姉・親・自分と親しい人たちと出会い、出会いの中で明かされた真実、そして再会…。

ファンタジーでありながらも、姉妹・家族の「愛」がこれほどまでに感じた小説は無かった。何と行っても再会した時のシーンはこれまでの旅の中で得たことが全て噴き出し、今まで忌み嫌っていたことが嘘のように無くなっていったのが印象的だった。