生命保険のカラクリ

私は生命保険に加入していない。過去に生命保険の勧誘を受ける事があったのだが、生命保険を受ける事は一度もなかった。

その理由は元々生命保険を信用していないこと、もう一つはたとえ保険をかけたとしても、もらうのは家族などの親族に限られており、自分が加入をしてもメリットがないというのが挙げられる。最も葬式などの費用はかかるものの、それだったら、遺書を使って自分自身の遺産から使ってくれと書いてしまう。保険をかけてまで自分自身の安全を守ろうという思いはこれっぽっちもない。

私事はここまでにしておいて、著者はハーバード卒業後、生保ビジネスに参入してきた。ネットを利用して保険に入ることができる「ライフネット生命」である。しかし「生命保険」の勧誘を受けた私に取ってもピンとこなかったのが、プランも様々であり、何と行っても「特約」が数多く存在する事から、あまり理解しないまま加入してしまうケースも少なくない。そんな生命保険のカラクリについて保険業界のトップにいる著者が解き明かしつつ、賢い保険の選び方について提示している。

第一章「生保のGNP―義理・人情・プレゼント」
「GNP」というと「国民総生産」を連想してしまうのだが、実際には本書のサブタイトルを一つ一つローマ字化して、頭文字を取ったものである。
この「GNP」はかねてから生保業界に存在するセールス方法のことを表している。どのような物かと言うと、会社にしても個人にしてもフェイス・トゥ・フェイスにて対応を行い、そこで義理・人情を生み出し、保険の内容によってはプレゼントまでつくようになったことから表されている。

第二章「煙に巻かれる消費者―誤解だらけのセイホ」
保険に入っていない私自身も色々な人から保険に入るよう急かされている。それはなぜだろうか。その一つとして貯蓄の役割、あるいは一時金をもらえるなどの役割を持っているのが要因とある。しかし今の保険は最初にも書いた「特約」などが絡み合い、素人目ではとても理解できない複雑に入り組んだ物になってしまっている。その「複雑さ」が消費者を煙に巻いてしまっている現状にある。

第三章「儲けのカラクリ―生命保険会社の舞台裏」
消費者にとって分からない部分は第二章ばかりではない。保険会社にとって儲けになる様な所はどこかにある。保険というと消費者から保険料を徴収して、それが利益になるわけではなく、それをいかにして殖やしていくかも行っていく必要があるという。また、稼ぐために「契約査定」などの様々な仕掛けも本章にて取り上げられている。

第四章「かしこい生保の選び方」
保険業界の表と裏を知った上で、それでも保険を選びたいという方であれば、本章が適している。その中で生命保険を選ぶにはどのように選んだら良いのか本章では「七か条」という形で心構えとして取り上げている。

元々著者は生命保険に関する本や記事と言うよりも、どちらかというとビジネス書の傾向が強い印象なのだが、本書の様に保険業界を暴露した一冊は珍しい。生命保険の内側から暴露し、それでいながら「かしこく」保険に入るためにはどういたら良いのかも示している。これから保険に入ろうと思う方、あるいは保険に対して少しでも疑いを持っている方には適した一冊と言える。