ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?

日本能率協会マネジメントセンター 様より献本御礼。
私自身趣味として落語鑑賞がある。元々小さい時からTVやCD・カセットなどで親しみ、神奈川に移り住んでからは、頻度こそ年に1回あるかないかだが、寄席に足を運ぶこともある。今も古今東西の落語を堪能しているのだが、落語は話術のみならず、ビジネスにおいても重要な効果をもたらすのだという。それを解き明かしたのが、共に元落語家であり、現在はそれぞれの道で第一線を歩んで言っているご両人である。

第一章「なぜ年収1000万円以上のビジネスエリートは、落語を聴くのか?」
本章のタイトルの根拠にはビジネス系雑誌「PRESIDENT」における統計から来ている。もっとも落語には「笑い」もあれば、相手の心を掴むユーモアもある。また、「話し方」「考え方」についても落語は格好の材料となる。もちろん落語における「笑う」感情をもたらすことによって心身の病も吹き飛ぶという役割もある。他にも仕草・世渡り・人間としてのあり方など、様々な要素がある。

第二章「落語は“人間関係の悩み”に効く!」
落語家の世界は上下関係が厳しい。修行の世界はもっと厳しいのだが、その「厳しい」というのは競争というよりも「理不尽」との戦いも含まれる。そういった事にひたすら辛抱しながら芸の道を進んで行った。そういった上下関係の厳しい世界でも、ビジネスにおける上下関係はもちろんのこと、人間関係を円滑にするための方法がふんだんに詰まっている。

第三章「落語に学ぶ最強の伝え方メソッド!」
落語を聴いてみると色々なヒントがある。本章では「マクラ」「共感」「クロージング」の3つに分けて紹介されているが、中でも「マクラ」はスピーチやプレゼンにも役立つという。もっとも内容はもちろんのこと、強弱など、聞き手に惹きつけるヒントもあるのだという。

第四章「落語が教えてくれた成長のルール!」
落語の修行はもちろんのこと、落語の中身にも仕事における「成長」の要素はある。特に落語の修業は「下積み」や「謙虚さ」があり、さらに芸の肥やしとしてある「遊び」など学ぶものがある。もちろんそういったことは仕事にも直結している。

第五章「落語家の生き様に学ぶ“覚悟”の磨き方!」
落語家は様々な「覚悟」を持つ必要があるという。一流であればあるほどなおさらである。しかしそれはビジネスの世界でも同じことで、全力投球をすること、偶然を味方にすること、学ぶこと、時間を大切にすることなど、覚悟が試される場面はたくさんある。

第六章「仕事に効く落語ガイド!」
落語がビジネスに直結することは分かったが、落語初心者の方の場合、どのようにして落語を親しんでいけば良いのか分からない方もいる。そこで本章では落語をどのように聞けば良いのか、について取り上げられているが、寄席や落語会(独演会や二人会)で視聴することが一番であると言う。特に落語会については、どのような落語家の会が良いのかについても詳しく取り上げられている。

元々落語は「大衆芸能」と呼ばれ、私たちの生活と直結している部分も少なくない。もっとも人生にしても、仕事にしてもエッセンスがあることは知ってはいるものの、本書のように事細かに伝えられている本は珍しいと言える。ビジネスパーソンで落語を知らない方、あるいは少しでも興味を持っている方であれば本書から入っていくと良い。

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