進化する企業のしくみ

企業は日々刻々と進化、ないしは変化をする。それはだれにも止めることができず、なおかつそれに乗らなければ淘汰されてしまう。その「進化」について本書では、「進化の仕組み」と題して、異業種やWebなどに着目して取り上げている。

第一章「進化しない企業は生き残れない~異業種格闘技競争の時代がやってきた」
これまでは同業種の中で競争を図ってきたのだが、業界内にて飽和状態にある所では、成長に限界を生じてきてしまう。それが今となっては例えば小売業が銀行業界に進出するなど他業種に進出するようになってくる。そういった状況を「異業種格闘技競争」と定義されている。もっとも法律や倫理などある一定のルールさえ守っていれば「なんでもあり」の状態を指す、「バーリトゥード」の状態であることから指している。

第二章「グーグルは企業経営にどう関係するのか~日本企業とグローバルIT企業の未来の関係」
今でこそグーグルは、Gmailはもちろんのこと、グーグルドライブなど、個人のみならず、会社単位でも使われるケースも存在する。その理由として「IT化」や「クラウド化」を進めるにしても膨大なコストがかかり、コストカットを念頭に置いている企業にとっては、グーグルは「頼みの綱」といえる存在である。そのような状況の中でグーグルと他の企業との関係はどのようなものなのか、本章ではそのことについて論じている。

第三章「消費者主権主義は何を意味するのか~企業とブログの新しい関係」
本章にて取り上げる「消費者主権主義」を象徴づけるものとして本章のサブタイトルにある「ブログ」を取り上げている。ブログは日本では日記やニュースサイトなどの役割を担っているが、ほかにも商品紹介など消費者目線で商品を取り上げるブログも少なくない。そのようななかでブログと企業とはどのような関係を持つのか、そのことについて取り上げている。

第四章「企業同士の新たなつながり~マッシュアップともたないシステムがビジネスを変える」
企業同士のつながりとして本章では「Suica」を中心に取り上げている。Suicaといえば2001年に誕生し、それから急速に広まっていった。さらにPASMOやTOICAなど交通系ICカードが続々と誕生し、相互利用も可能になっていった。交通系ICカードのほかにもEdyなどの電子マネーも出てきて、ポイント獲得などで様々な企業と提携していることから、カードやポイントを介して企業とのつながりを持つケースもある。

第五章「社員同士がつながる時代~企業内SNSがビジネスを変える」
社員同士のつながりは会社内でのフェイス・トゥ・フェイスばかりではなく、SNSを介して行う例も少なくない。しかも「社内SNS」を構築して、社内のコミュニケーションを図る事例も出てきているのだという。

第六章「将来に向けての展望~われわれはどう進化すべきなのか」
そういった現状のもとで企業はどのような道をたどっていけばよいのか、その一つにWeb文化を浸透することも挙げられるのだが、ほかにも企業としての「仕組み」を変化すべき要素も存在する。本書ではこれまで取り上げてきた内容からどのように進化すべきかを論じている。

会社そのものも、会社の中身も常々進化している。むしろ積極的に「進化」をしなければ生き残れない。その中で今行われている「進化」とはいったい何なのか、本書はその参考資料として利用することができる。そういう一冊である。