水の道具誌

そろそろ梅雨の時期であるが、その時期が抜けると真夏になる。30度以上の気温が続く状況にある中で水や塩分は必要になってくる。そうじゃなくても、私たちの生活に必要な「水」、今では上下水道が完備されており、水不足や災害などが起こらない限りはいろいろな用途で使われるようになっている。

ではその「水」は今までどのような使われ方をし、楽しまれてきたのか、本書は「水」にまつわることについて取り上げている。

第1章「水を楽しむ―撒く水、眺める水、聴く水」
水にはいろいろな楽しみがある。夏になれば打ち水もありお、花に水をやるものもある。視覚を楽しむものとしては「水時計」もあれば、金魚も含めて楽しめる「金魚鉢」、嗜好品として楽しめる「水煙管」や「水出しコーヒー」というのもある。

第2章「雨に装う―蓑笠(みのかさ)から軒樋(のきどい)まで」
そろそろ梅雨の時期で雨の多いシーズンとなる。とはいえど先々月は雨が頻繁に降っており、傘が手放せなくなっている。
傘は昔からあるのだが、それ以外にも「雨具」は存在するのかというと、身につけるものだと「蓑笠」がある。ちなみに蓑笠は雨よけに使われただけではなく防寒具として使われることもあり、雨の日だけでなく、風や雪の日にも使われるほどだった。
そして「軒樋」はいわゆる「雨樋(あまどい)」といえば分かりやすいだろう。家の外側に通っている管みたいなものがあり、それが屋根に降ってきた雨を軒樋を経由して地面に落とすというものである。

第3章「水の性質を活かす―滲(し)みる水、浮かす水、水の泡」
水の性質を生かして様々なものが開発されたという。例えば水平を保つための「水準器」は水というよりも液体の性質を生かしている。ほかにも釣りでよく使われる「浮子(うき)」も水に浮く性質を利用している。そして水をしみこませて利用する雑巾はもちろんのこと、同じ性質でも汗などの水分を拭き取る手ぬぐいやハンカチもある。

第4章「水の道―流れる水、汲んでくる水、ひねるとジャー」
いわゆる「水道」といえるのだが、今となっては蛇口から水が出るようになっている。しかしかつて水はどのようにして取ってきたのか。その一つとして「井戸水」や「水甕(みずがめ)」などがあるのだという。

第5章「世界一周「洗濯」の旅―浄と不浄、手動と自動」
今では洗濯自体「全自動洗濯機」があり、洗濯物と洗剤さえ入れておけば後は全自動でやってくれた。しかしそれも誕生したのは戦後になってから「三種の神器」の一つとして誕生した。それまではどうだったのかというと、金だらいに「洗濯板」を使って選択を行っていた。夏場なら暑い時期なので涼しいのだが、冬の場合は水も冷たく手もかじかんでしまうため洗濯ほど過酷な家事はないと言われるほどだった。しかしその「洗濯板」の起源は中国大陸にあったのだという。

今も昔も生活に「水」は必需品だった。しかし水との共生は技術の進化とともに変わっていっていることがよくわかる。本書で取り上げた道具の中にも現在でも親しまれているものもあれば、すでに廃れてしまっているものもある。とはいえそれらを知ることによって私たちの生活のなかで「水」がいかに扱われ、つきあってきたのかがよくわかる。