モンスーンアジアのフードと風土

日本をはじめとしたアジアの地域は「モンスーン」と呼ばれる「季節風」が吹いている。それにより四季折々の季節がはぐくまれ、多様な気候を彩ってきているが、それと同時に風土が生まれ、フードをはじめとした文化が育まれてきた。その育まれてきた文化や風土はどのようなものがあるのか、本書はそのことについてフィールドワークを通じて考察を行っている。

第Ⅰ部「モンスーンアジアの自然と稲作」
モンスーンの影響を受けているアジアの地域は日本に限らず、中国南部・韓国・インドネシア・ベトナム・ラオス・インド・タイなどがあげられる(ほかにもアフリカ・アメリカにもモンスーンはあるが、本書のこともあるためあえてアジアだけ取り上げる)。挙げてみると温帯から亜熱帯、さらには熱帯などがあり、総じて季節がはっきりとしており、一部砂漠になっているところはあるものの、雨季もあるなど共通している部分が多い。
それによって農業も特徴があり、稲作を中心とした農業も盛んである。特に稲作における二期作(同一の耕地に同じ作物を年に二回栽培すること・「大辞林 第三版」より)や三期作といったことができるのだという。

第Ⅱ部「風土に育まれたフード」
モンスーンの風土の中で生まれたフードということだが(決してダジャレというものではなく)、どのようなものがあるのかというと、主に「稲」、つまりコメなのだが、そのコメの種類、食べ方も国によって異なる。日本のように白米におかずを添えるような形もあれば、モチの形にして主食とするようなところもある。
ほかにも本章ではシジミや納豆についても取り上げている。面白かったのは納豆で、日本固有のものかと思ったが、中国や東南アジアなどでも形は違えど親しまれているという。特に本章ではラオス・タイ・ミャンマーの納豆を写真とともに取り上げられているのが興味深い。

第Ⅲ部「フードと風土の社会と変化」
食を通じた宗教・社会における変化は常々起こっている。本章ではネパール・ブータン・インドネシアの食について農村・都市部の違いを社会的状況に絡めて紹介している。

「モンスーン」という言葉は中学校で学ぶ用語なのだが、実際に「モンスーン」の影響を受けている地域、特に本書ではアジア地域について食文化や自然を中心に取り上げてきたわけであるが、食にしても文化にしてもモンスーンの影響を受けていることがよくわかる一冊である。