民間療法のウソとホント

いわゆる「医者いらず」とも言われる「民間療法」だが、その中には全く効果のないものもある。それであればまだましなのだが、もっとひどいもので言えば健康的にも悪影響を及ぼすものまで存在する。それゆえに「民間療法」は玉石混淆であり、なおかつリスクも大きい。とはいえ身近に存在しており、手が出しやすいということで、民間療法は手放せないという考えもある。

さて本書である。本書は健康雑誌の元編集長が医学的なデータをもとに、有名な民間療法、および健康食品を検証しつつ、本当に効く民間療法、実は逆効果だった民間療法を取り上げている。

第1章「「紅茶キノコ」ブームの裏側」
「紅茶キノコ」がブームになったのは1974年、今から40年以上も前の話である。ちなみに本章でそれを取り上げた理由は著者が編集者としてある健康雑誌を創刊した時と近いためであり、著者の健康雑誌でも取り上げたほどである。なぜ「紅茶キノコ」がブームになったのか、その背景について著者の体験をもとにつづられているのだが、その健康雑誌ならではの要因、そして雑誌ならではの背景が横たわっている。

第2章「健康雑誌のからくり」
長年健康雑誌に携わってきた著者は、第1章で取り上げた「紅茶キノコ」をはじめ民間療法について数多く扱ってきたのだが、その反面ある「罪悪感」があったという。健康グッズや民間療法など著者が携わった雑誌にて扱ってきたものに対して、様々な形でブームを引き起こしてきたのだが、そこには大きなからくりが存在したという。

第3章「漢方は効くのか」
ポリフェノールなどの物質は健康食品にてよく取り上げられるのだが、著者に言わせればこれらは民間療法であるという。では「漢方」はどうなのか。厳密にいえば漢方医が個人の体調に合わせて漢方を処方するというものであり、民間療法ではないといえる。しかし市販されている薬の中には漢方のエキスを利用したものがあり、民間療法の要素も出てきている。しかしそもそも漢方をはじめとした「東洋医学」には実験などの検証を行わず、なおかつ患者に服用させた後も経過をじっくりみるなど、現代医学とはことなるアプローチがあるという。そのことについても本章にて言及している。

第4章「がんとアガリクス」
がんは今でも死に至らしめるほどの病気であり、生活習慣の中で発生する病気である「生活習慣病」の一つに挙げられている。その予防・治療に際して民間療法を試しているケースもあるのだが、その一つとして本章では「アガリクス」を取り上げている。健康食品でもよく使われるアガリクスは果たして予防に役立つのか、そして免疫機能として役立つのか、本章ではそのことについて取り上げている。

第5章「黒酢、コラーゲン、グルコサミン」
健康食品の中で代表されるものとして、本章では3つ取り上げられている。「黒酢」には疲労回復・血液サラサラなどの効果があり、「コラーゲン」には美肌、グルコサミンには関節痛を和らげる効果があるのだが、それらは薬やワクチンのような治療効果があるわけではなく、あくまで健康を維持するためのものである。

第6章「花粉症とアトピー対策」
「花粉症によく効く」と言われる民間療法も数多く存在するのだが、実際のところ効果があるのは少数であるという。元々「花粉症」が生まれたのは1963年、それからずっと花粉症患者が増えていく一方である。花粉症における民間療法というと、「マスクをかける」「花粉症予防グッズを使う」というのが挙げられる。
ちなみに花粉症のほかにもアトピーについても民間療法が挙げられるのだが、本章ではそのことについて指摘している。

第7章「民間療法が「効く」理由」
とはいえ民間療法の中には「効く」方法が存在するという。しかしその民間療法が「効く」にはある「心理」があるのだという。本章ではその心理構造について取り上げている。

第8章「民間療法の見分け方」
最初にも書いたのだが、民間療法には玉石混淆とあり、なおかつ人体に有害な両方まで存在する。本書は民間療法においてどのようにして自分に合った療法を選べばよいのか紹介するとともに、著者自身が実践している健康術も紹介している。その方法は特別な方法は行っておらずきわめてシンプルなものであるという。

自分自身も民間療法に頼ることがあるのだが、その中にも効果がなくてすぐにやめたものもある。もちろんやめた後にすぐ新しい民間療法を試してしまう。もっとも民間療法をどのようにして選べばよいのかわからなかったのだが、本書でもって真偽を見抜きつつ、自分に合った方法を探してみたいと思う。