ガストロノミ―美食のための知識と知恵

美食の世界で「ガストロノミ(ガストロノミー)」というのがある。「ガストロノミ」は辞書で調べてみると「美食学」と書かれており、料理を基軸にして文化などの関連性を考察するという学問である。そもそも「ガストロノミ」はいつごろからできて、なおかつ「ガストロノミ」は食と社会にどのような影響をもたらすのか、そのことについて迫っている。

第一章「ガストロノミと食物摂取との違い」
「ガストロノミ」という言葉が生まれたのは古代ギリシャ時代の料理の概論にて使われたのだが、味覚の技法として使われたのは17世紀後半である。
本書では「ガストロノミ」の概念・理論と食物摂取との違いとして挙げられるのだが、食物摂取の場合は栄養バランスや食の安全性について挙げられるのだが、ガストロノミの場合は味や調理などの組み合わせと、その質について挙げられている。

第二章「食材」
ガストロノミの要素の一つとして「食材」がある。食材の質も問われるという。食材によって組み合わせていくうちに良い料理にもなれば悪い料理にもなってしまう。本章ではその食材における「質」はどこで決められるのか、そして肉・野菜・乳製品・ワインなどそれぞれの食材のルーツと「質」の決まり方について取り上げられている。

第三章「食卓」
「ガストロノミ」が成り立つのは何も料理人と料理だけではない。料理を嗜むための人、さらには嗜むための「場所」、いわゆるテーブルや道具なども必要になってくる。
本章では人からクロス・ナプキンなどの「テーブルウェア」、前菜・メインディッシュなどを構成する「献立」など、それぞれに分けて、食卓を彩る原理について取り上げている。

第四章「社会学とガストロノミ」
「ガストロノミ」は食を司っているが、この「食」が他の分野に共通するものもあれば、対立する場合もある。本章では「社会学」との関連性をタイトルにしているが、実際には社会学の中にある「宗教」「医学」「政治」に分割して、「ガストロノミ」との関連性について考察を行っている。

第五章「ガストロノミ学」
最後に「ガストロノミ」は一つの学問として成り立っている。しかし「ガストロノミ」が学問として成立したのは技法が確立された以前から存在しており、古代ギリシャ時代にあったという。ただし、その学問が文献として出てき始めたのは活版印刷ができた時である15世紀頃から出てきており、20世紀になると、あらゆる種類の「ガストロノミ」が出てきたという。もちろんガストロノミにも様々な分野に分れ、さらに分野によって学術団体ができるなど、「ガストロノミ」そのものも広がりを見せている。

「ガストロノミ」という学問や概念は以前から知ってはいたものの、その歴史と展開はどのようなものかはあまり良く分からなかった。しかし本書はその「ガストロノミ」の深い歴史を知ることができるのと同時に、「ガストロノミ」がいかにして私たちの生活に密着しているのかが良く分かる。本書はその「ガストロノミ」を学ぶに当たって知るべき概念が詰まった一冊と言える。

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