東京駅「100年のナゾ」を歩く – 図で愉しむ「迷宮」の魅力

最近は東京駅に行くこと自体無くなったものの、仕事の関係から東京駅に足を運ぶことは何度もあった。特に2012年には東京駅の復原工事が終わり、10月1日に全面再開業となった。また2014年には東京駅が開駅100周年という節目を迎えた。

私が初めて東京駅を利用したのは今から8年前の話、ちょうど就職活動真っただ中の時である。その時東京駅周辺では工事の最中であったことを記憶している。その際に東京駅には丸の内口と八重洲口があるのだが、その出口で迷ったことは今も懐かしい。そのことから本書のタイトルにある「迷宮」は合点がいく。本書は目くるめく東京駅の過去・現在・未来とその魅力について迫っている。

1章「迷ってしまうあなたに、東京駅を10秒で分かる方法」
身も蓋もない事を言ってしまうのだが、私は東京駅に限らず、新宿駅・上野駅・渋谷駅は迷路だと思っている。特に渋谷駅は昨年・一昨年あたりに再開発され、複雑化したことからよりいっそう複雑なものになっていた。とはいえ東京駅・新宿駅は行く機会が多くなったので、少しは慣れたものの、まだまだ迷うことがある。本章ではその東京駅を図解にてわかりやすくしながらメカニズムを解説している。

2章「波打ちぎわの東京駅―丸の内は、なぜシカク?」
有名かどうかは不明なのだが、東京駅は海から近い事もあり、本章のタイトルにある「波打ち際」の駅と言われるのだという。そのことから地下水位が高く、その影響もあってホームが浮上すると言う問題が今もあるのだという。
しかし本章ではそのことを述べているわけではなく、むしろ江戸時代から丸の内をはじめとした東京中心部はどのように変化をしてきたのか、そのことについて取り上げている。

3章「日本国をしょった東京駅―中央駅は「日本一」じゃない?」
日本における鉄道の歴史は1872年に新橋~横浜間にて誕生したことから始まる。その後東京駅が誕生したのは1914年となる。その東京駅の誕生はこの長い年の隔たりが物語っているように都市計画などの行政の思惑にさらされた歴史と行っても過言ではない。
また現在でこそ東京駅は中央駅の一つであったのだが、誕生当時は東京駅は「中央駅」になれなかった時代があったのだという。

4章「古くて新しい東京駅―コピペのコピペの赤レンガ」
東京駅の誕生は、新橋駅はおろか、新宿駅・上野駅などに比べてはるかに遅く、大正時代に入ってからの事である。その東京駅が建てられた際の赤レンガは非常に特徴的であったのだが、実際の赤レンガもイギリスをはじめ様々な様式を折衷したものである。そのことから「コピペのコピペ」と名付けられた。

5章「近くって遠い東京駅―プラットホーム群に「抜け道」あり」
3~4章にて取り上げたとおり、東京駅が出来たのは他の主要駅よりも遅かったことから栄えたのも若干遅かった。そのため中心部が遠い位置にあり、そのことから「遠い」という意味合いがあること、さらに東京駅は地下鉄の「大手町駅」とも近いところにあるが、乗り換えの距離があることから、そのことから「近くて遠い」という意味合いを持っているが、本章では前者の事を表している。

6章「高くて低い東京駅―250メートルも離れた「双子」のタワー」
東京駅は駅自体の高さとしてはそれほど高くないように見えるのだが、駅直結として「ノースタワー」と「サウスタワー」からなる「グラントウキョウ」というツインタワーがあり、その高さは200メートルほどであるという。ただツインタワーと言っても東京駅の八重洲口にある北口・南口とで分かれており、その距離は250メートル離れているという。

7章「未完の東京駅プロジェクト」
東京駅の進化は今もなお続いている。現時点で今年3月には上野東京ラインと北陸新幹線の開業したことにより、東北本線や常磐線などの乗り入れや北陸への移動も可能になった。その後は北海道新幹線や2020年に開催される東京オリンピックを見込んだ羽田空港にアクセスする計画もあるのだという。

今でこそ東京の中心駅の一つであるが、そうなるまでにはかなりの時間を要した。もちろん現在は観光としてもビジネスとしても重要駅の一つとしてあげられており、駅の中も迷宮のようでありながら、様々な飲食・娯楽も愉しむことが出来る駅、それが東京駅である。