『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密

映画の中での名作にはいろいろあるが、今でも色あせない名作も存在する。その名作の一つとして1965年に公開された「サウンド・オブ・ミュージック」がある。ミュージカル映画の傑作である作品がいかにして今も人気があるのだが、映画評論家・批評家の間では「通俗的すぎる」と評価は低い。

とはいえ今もなお語り継がれているのには、いったいなぜなのか、本書はその秘密について取り上げている。

第1章「導入部の魔術」
作品の導入部は、主人公であるマリアがとある丘の上で熱唱するシーンが出てくる。その場面で鳥のさえずりからタイトルソングである「サウンド・オブ・ミュージック」がうたわれるのだが、そこには観客を引き込ませるための仕掛けをしているのだという。本章ではその仕掛けについて取り上げている。

第2章「マリア、変幻自在」
元々主人公のマリアは修道院のシスター見習いであった。しかしそのマリアは自由奔放であり、厳格な修道院のシステムに溶け込めず、「アウトサイダー」として扱われていた。そこで見かねた院長がマリアに家庭教師としてトラップ一家に派遣するように命令した。
それからシスター見習いから家庭教師に転身し、そこで芽生えるトラップ大佐との「恋」、そして7人の子供たちに対しては時には教師として、時には「姉」や「母親代わり」としての「顔」があり、本章のタイトルの通り「変幻自在」である。なぜマリアが変幻自在になったのか、そのことについて考察を行っている。

第3章「愛されるストーリーの秘密」
しかしなぜ50年たった今でもサウンド・オブ・ミュージックは愛されるのか、そこには歌とストーリーの2つの要素があるのだが、歌については次章の第4章で詳しく述べることとして、ここではストーリーについて取り上げられているのだが、主人公と一家との隔たり、そして物語の舞台となった第二次世界大戦前の時代についても事細かに描かれているのだが、そこに秘密があるのだという。

第4章「歌と歌唱の力」
サウンド・オブ・ミュージックの根幹をなしているのは何といっても「歌」である。第1章でもあるタイトルソングもあれば、「ドレミの歌」「エーデルワイス」「私のお気に入り」「すべての山に登れ」など有名で、なおかつ現在でも歌い継がれている曲も多数存在する。本章ではそういった歌がなぜ誕生したのか、そして物語としてどのような作用があったのか、そのことについて取り上げている。

第5章「神は細部に宿る」
サウンド・オブ・ミュージックが魅力的だった要因として歌やストーリーばかりではない。主役をはじめとした配役の選出について本章に取り上げている。

第6章「ロケ地巡礼」
サウンド・オブ・ミュージックではいろいろなロケ地を取り上げている。その多くはオーストリアのザルツブルクにあり、ザルツブルクそのものが「サウンド・オブ・ミュージック」のテーマパークであるのだという。

冒頭と第3章にもあったがサウンド・オブ・ミュージックが公開されてちょうど50年を迎える節目となる。その節目となった今もなお、DVDなどで親しまれており、なおかつ世界中の人々に愛されている。本書はその秘密を明かしているのだが、その秘密があったからでこそ50年たった今も「名作」が語り継がれているのかもしれない。