盆踊り―乱交の民俗学

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今日からお盆休みの方も多いと思う。故郷へ向かう方もいるが、その方々も熱中症にかかっては元も子もないので気を付けてほしいところである。お盆のシーズンになると、踊ったりするものとして「盆踊り」が上げられる。盆踊りといえば地方によって異なるのだが、私が生まれ育った北海道ではこのような歌がうたわれ、それに倣って踊っていた。

お盆の風物詩である盆踊りであるが、実はその盆踊りはサブタイトルにあるように少し卑猥な存在であったという。目や耳を疑ってしまうような内容なのだが、本書はその「盆踊り」の歴史について取り上げている。

第1章「歌垣―乱交の始まり」
そもそも本書のサブタイトルにある「乱交」という言葉が出てきたのは、平安時代における「風土記」や「歌垣」などから来ている。歌垣とは、

「古代の習俗。男女が山や海辺に集まって歌舞飲食し,豊作を予祝し,また祝う行事。多く春と秋に行われた。自由な性的交わりの許される場でもあり,古代における求婚の一方式でもあった。人の性行為が植物にも生命力を与えると信じられていたと思われる。のち,農耕を離れて市でも行われるようになった」「大辞林 第三版」より)

とあるが、本章ではその歌垣の存在と、それがどのように伝承していったのか、そのことについて考察を行っている。

第2章「雑魚寝と夜這い」
前者はそうではないのだが、後者は背徳感が漂うのだが、そもそも後者の概念が生まれたのは「古事記」の時代だった。それから万葉集をはじめとした作品の中にも夜這いのニュアンスが描かれた作品は数多くあり、性的にもおおらかさがあったといえる。それからしばらくして「雑魚寝」という概念が生まれた。生まれたのは1200年代に成立した「八雲御抄」と呼ばれる作品からである。

第3章「踊り念仏の狂乱と念仏踊り」
この雑魚寝や夜這いの概念が後に「乱交」の概念につながっていったのだが、そこから盆踊りになっていったのにはどのような経緯が存在したのか、本章では鎌倉時代における「念仏踊り」や「風流踊り」といった踊りから転じて盆踊りとなったという。ほかにも本章では伊勢踊りや小町踊りについても言及している。

第4章「盆踊りの全盛と衰退」
盆踊りの前身の一つである念仏踊りが栄えたのは江戸時代に入ってからのことである。そしてそれが盆踊りへとなっていったのだが、公式の記録として徳川秀忠が将軍だった時代に宮中で行われたというが、実質的に「乱交」と言っても差し支えなかったという。地方でも盆踊りが栄えたのだが、地方の文化に伴って変化しているのだが、中には「盆踊りの最中に婚約を行う」「男女とくんずほぐれつになって踊る」というような記録まである。少し卑猥なものが続いたのだが、そのことにより地方によって盆踊りの形が異なるきっかけとなっていった。

夏の風物詩である「盆踊り」、その盆踊りは地方によって流儀・文化が異なるだけあり、その背景がどのようなモノがあったのか非常に興味深かったのだが、歴史の深さというよりももともと日本にあった「性的なおおらかさ」という印象が強かった。民族に関する研究本なのだが、性的なものに抵抗のある方は注意して読むと良いのかもしれない。

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