仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

日本の出生率は下げ止まりになってはいるものの、高度経済成長期から見たら本書のタイトルにあるような事態になっている。とはいえ日本では世界第3位の経済大国と呼ばれているにもかかわらず、「働きづらい」「生みづらい」というような状態を生んでしまっているのだろうか、本書ではそのことについて取り上げている。

第1章「日本は今どこにいるか?」
日本の立ち位置であるが、本章では「労働環境」「就労スタイル」「出生率」「結婚率」などを統計し、世界各国と比較しながら、どの位置にいるのかを検証している。良く比較されるところとして米欧だかとりわけアメリカや北欧諸国である場合が多い。

第2章「なぜ出生率は低下したのか?」
出生率の低下は今に始まったことではない。80年代以降になって、様々な角度から言われ続けている。そのことから日本では「少子高齢化」と言われているのだが、これは日本に限った話ではなく、隣国である中国でも「一人っ子政策」のひずみから深刻な少子高齢化になっている。また他の先進国でも少子化となっているが、日本ではどうしてそうなったのか、本章では出生率とともに未婚率などのデータを用いて考察を行っている。

第3章「女性の社会進出と「日本的な働き方」」
女性の社会進出はだんだんと進んではいるものの、まだ認知が薄く、先進国と比べても低い現状にあるという。その要因には「日本的な働き方」と言うのがあるのだが、そのメカニズムについて取り上げている。

第4章「お手本になる国はあるのか?」
労働形態はもちろんのことお手本になるような国はあるのだが、日本の現状に合わせて手本にできる国はあるのかというと首を傾げてしまう。本章では手本になるような国々を日本の国体や主義などを取り上げながら模索している。

第5章「家族と格差のやっかいな関係」
「家族」と言うと共働きや家事の役割といった課題があり、「格差」は国家の問題のように見えて、実は家族とも密接な関係にあるのだという。その関係性について取り上げている。

仕事と家族の現状は厳しい状態にあるのだが、その「厳しさ」は時代とともに変容している。今は本書のサブタイトルにあるように「働きづらい」「産みにくい」というような事が言われているのだが、そもそもそれぞれの環境について変化できているのかというとNoと言うほか無い。もっとも日本人はめまぐるしい「変化」に対応できないと言うよりも、そもそも「変化」をすることが苦手、あるいは嫌がるのである。それをどう受け入れ、変化をしていくのか、これは国家に限った話ではなく、日本人個人に突きつけられた課題と言えよう。