駐車学

今となってはいたるところに駐車場が設けられており、車が駐車しているところがほどんどである。ところによっては地下に駐車場が設けられたり、あたかもビルのような駐車場施設が作られたりするところもある。それだけ日本は「車社会」であり、なおかつ駐車場の需要も高いといっても過言ではない。その駐車こそ、今でこそいたるところに設けられているのだが、それらはそれぞれの行政的な政策や民間における施策によってなされたものである。本書はその傾向について取り上げている。

第1章「駐車とは」
「駐車」を辞書で調べると、

「自動車などを継続的にとめておくこと。道路交通法では、荷物の積み下ろしを除き5分以上車両をとめる場合をいうなど、「停車」と区別する」「広辞苑 第六版」より)

とある。ほかにも「走行」と「停車」との関連性について取り上げられているほかに、現時点存在している「駐車」のモラルやルールの問題点についても本章にて指摘している。

第2章「わが国の駐車政策の仕組み」
ここでは行政の立場から駐車にまつわる政策について取り上げている。その政策として最初に挙げられているのが「路上駐車」である。これは2006年6月に施行された「改正道路交通法」によって、路上駐車に関する取り締まりが強化されたことが挙げられる。このころから路上駐車の取り締まりが民間単位で行われるようになり、違法路上駐車が減少したという。

第3章「路上駐車への対応策」
しかし違法路上駐車が減少したとあるが、路上駐車の受け皿はどこにあるのかという疑問を持って誌編むのだが、そこでいたるところに駐車場がつくられたり、レジャースポットの中には地下に駐車場をつくられたりして、受け皿を作っていった。
特に都市部など駐車場が作ることのできないところもあるのだが、そこではローディングゾーンと呼ばれるもので補っているという。私自身初めて東京に行ったときに「ローディングゾーン」があったことに驚いたことは今も覚えている。

第4章「業務・商業地における駐車施策」
良くあるのが、空き地に駐車場がつくられる。商業地などでも空き地に駐車場が作られるのだが、それでは足りない。そこでどのようにして駐車設備を作っていくのかというと、以前小説で「ピロティ」という建築技術を取り入れた建物をつくって、その一番下に専用駐車場をつくるという方法がある。ほかにも小売りなどの販売をする場所については集配を行いやすくするための駐車場を設けるなどをしているという。

第5章「住宅地の駐車施策」
住宅地の駐車場というとコインパーキングもあれば月極駐車場などが挙げられる。ほかにも住宅によっては「車庫」もある。とくに住宅地の駐車場、特にコインパーキングには「駐車場法」などありとあらゆる法律によって規制されている。

第6章「駐車施設の計画運用と新社会システムの構築」
現在でこそ駐車システムの構築はなされているのだが、それでもなお駐車システムの変化は続いている。そこで本章では国内外の駐車システムを取り上げながら、駐車と社会との共存について模索している。

第7章「駐車政策の展望」
車社会によって行動範囲が拡大していったのだが、現在では「車離れ」というのがあり、車の需要は右肩下がりになっていた。さらに車も電気自動車・カーシェアリングなど車の運転のあり方も変化している。その変化に駐車場はどのような対応をする必要があるのか、本章では駐車にスポットライトを当てて政策を提言している。

私たちの生活の中で車と同じく「駐車」もなくてはならない存在である。しかし時代の変化は車にしても駐車にしてもある。そのたびに新たな課題に直面してしまう。それにどう立ち向かったらよいのか、本書はその現状とこれからのヒントとなる一冊といえよう。

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