みんなの秘密

「人に言えない秘密」は誰にでもある。私自身もそういった秘密を持っている。本書の舞台はとある中学校、しかも多感な中学2年の仲良し3人組が主軸となり、人には言えない秘密を持ちながら、日常を過ごすという話である。

日常的な出来事を取り上げている作品であるので、もしかしたら単調に終わると思ったらそうではない。多感な中学生ならではの感情がありありと表現されており、「仲良し」ではあるけれど、表情によっては3人がお互いに距離を取ったり、ケンカをしたり、親密になったりと、あたかも現在の天候のようにめまぐるしく変わってしまう。

そういった感情に流されるからでこそ、大人になるための下地とも言え、それでいて中学生でしか分からない事情も本書でもって表されている。

もしも私が本書のような仲良し3人組がいて、本書にあるような日常を過ごすことができたらどうするのかというと、正直言って考えられない。何せ15年も前の話であるため、想像すらできないのである。

それでも本書でもって私自身の思春期を振り返りながら、思春期でしかできない感情を文字でもって触れることができた一冊と言える。