カネ遣いという教養

お金の使い方について「教養」があるのかというと、私自身「ある」と答える。そもそもお金の使い方ひとつでその人となりがわかることため、お金の使い方は重要な要素であるのだが、学校ではそういうことを学ぶ機会は皆無に等しい。今となってはビジネスマン向けにそういった学校やセミナーが開催され、お金の使い方はもちろんのこと、増やし方・殖やし方も取り上げられている。

しかし日本人は「お金の使い方」を学ぶ機会が少ないどころか、その概念を忌避する傾向がある。そもそもお金について勉強すること、「金遣い」はもちろんのこと「金儲け」そのものに対し嫌悪感があるのかもしれない。その嫌悪感を捨て去り、お金の使い方はどうしたらよいのか、本書はそのことについて伝授している。

第一章「吾はなぜかくもカネを遣うようになりしか」
著者は元々ファンド・マネージャーとして活躍し、何千億ものお金を動かした経験を持っている。それ故にお金を稼ぐ・使うことについてもスケールの大きいものだったという。
著者のほかにもお金の使い方のスケールの大きい人がいる。また富豪の中にどのようなお金の使い方をするのか、そのことについて綴っている。

第二章「体験にはカネを惜しまない」
ビジネス書でも「自己投資」という言葉がある。実際にそのための投資は本を買って読むばかりではなく、いろいろなセミナーに参加する、新しいことを体験する、新しいモノを買うといったことが挙げられる。そういった「体験」をすることそのものに「お金」を惜しまずに使っていくことで、自分自身の価値も高まる。

第三章「モノにもカネを惜しまない」
近年はモノを買う際にお金を惜しむ傾向にある。その傾向とはそもそも買わないか、もしくは買いたいモノの質を落として買うようなことがある。実際に単価の高いもの、高級なものを買うことで、モノの違いについて身をもって知ることができる。また使う人の価値を高めることができる。

第四章「カネ持ちほどカネを惜しむ」
金持ちというとお金を浪費するようなイメージがあるのだが、実際はその逆である。むしろお金を惜しむ傾向にある。その理由として「猜疑心」が挙げられており、物事を穿って見てしまう、そのことでお金の使うことに対してメンタルブロックがかかってしまい、使わなくなるという傾向にある。お金も寂しがりやなので、そういった人々にお金が集まる傾向にある。そのことでお金の流れがお金持ちに集まってしまうような状況になってしまう。

そもそもお金は死んだあと天国に残すことはできない。ましてやお金を使わないような状況が続くことになってしまうと、その人の成長が停滞してしまうことにつながってしまう。その成長をするためにお金の使い方を学ぶ必要があるのだが、実際にそれを身につけるためには使ってみなければわからないのである。