司法官僚―裁判所の権力者たち

「法の番人」と呼ばれる司法機関であるが、そこにも「官僚」の存在がある。どのよう案方々かというと「最高裁判所事務総局」と呼ばれる所であり、最高裁のみならず、地裁・高裁の判事たちを「統制」する立場である。その「事務総局」はどのような存在なのか、そして「司法官僚」の実態とは何か、本書は司法そのものの存在と司法官僚の関係について取り上げている。

第一章「いま、なぜ司法官僚なのか」
立法や行政でも「改革」の波は押し寄せており、その波は司法にも及んでいるのだが、その中で「司法官僚」の存在もある。実際に「司法官僚」と呼ばれる方々とは、最初にも取り上げた最高裁事務総局の幹部、さらには高裁の長官や事務総長、そして最高裁の調査官が挙げられる。

第二章「司法官僚は、どのように生まれるのか」
本章のタイトルをたどるときに2つのことを取り上げる必要がある。一つは国家公務員になる道、そしてもう一つは法曹への道がある。その2つの道を取り上げながら司法官僚がどのようなキャリアを歩んでいくのかを取り上げている。

第三章「司法官僚の支配の実態」
裁判官の任期は「10年」と言われている(何度でも再任可)。その裁判官を評価し、監視する役割として司法官僚があるのだが、その存在が「統制」する役割を担っているのだが、それが「支配」となってしまっている現状を取り上げている。

第四章「裁判所をどう変えるのか」
司法官僚に支配された状態の中でどのような改革を進めていけばよいのか、本章では「裁判官会議の復権」など司法行政改革や人事システムの改革など、現在行われている改革がどのように進んでいるのか、そして市民参加も含めて司法はどうあるべきかを取り上げている。

本書の最後に「司法改革の責任は市民にある」と記載されている。これは裁判員制度を言っているのか、それとも最高裁判官の国民審査のことを言っているのか、あるいは司法を改革するための行政・立法の選出を言っているのか、あるいはそれら全部なのかはわからない。とはいえ司法も国民が選べる部分があるとするならば、その目をそらすことなく、知り・関わっていくこともまた大切である。それを知るきっかけとなるのが本書である。