上司は仕事を教えるな!

部下や後輩ができるとなると「仕事を教える」と言うのが仕事の一つになる。仕事という「仕組み」を回すための役割の一つとして挙げられており、なおかつそのことによって「組織」や「会社」という仕組みがより強固になる。

しかし本書は上司の立場にある方々は仕事を教えることよりも大切な仕事がある。本書はその上司としての重要な役割とは何なのか、そしてその仕事とは何なのかについて取りあげている。

第1章「まだ仕事を教えているのですか」
今となっては「プレイングマネジャー」という存在もある。プレイングマネジャーというとリーダーとプレイヤーとしての両方の役割を担うのだが、本章では「リーダー」としての立場の重要性を説き、リーダーの仕事とは何なのか、そしてリーダーがプレイヤーの仕事は必要なのかどうかについて取りあげている。

第2章「外資系企業に見る上司の言動」
上司の言動は会社によって異なるのだが、日本的企業と違って、外資系企業における上司の言動・行動は「アプローチ」「部下との接し方」「帰宅」「感謝」「えこひいき」などの観点から取り上げている。

第3章「精神的支援の具体的なステップ」
基本的に仕事をするのは人間である。ロボットではない。しかし接し方によってそれすら否定するようなこともあるのだが、そうしてしまうと接される側からしたらたまったものではなく、最悪精神的な病を罹患することさえある。
そのため上司が部下に対して精神的な支援をするのか、というところも課題としてある。本章では「あいさつ」「雑談」「共感」「傾聴」の観点から具体的なステップを伝授している。

第4章「忘れられない上司になる」
部下の上司や先輩の背中を見たり、教わったりしながら育っていく。上司や先輩もまた部下に対しての接し方によって、慕われたり、育ったり、あるいはその逆だったりと変化する。接し方によっては部下にとって「忘れられない存在になる」ことにもなる。その印象は会社を退職するまで、仕事から引退するまでずっと残る。そうするために上司はどのような形で部下に教えたり、接したりしていけばよいか、「振り返り」「笑顔」「叱咤」などを提示している。

第5章「タイプ別・部下への支援方法」
ここではタイプごとに分けながら、具体的にどのような接し方をしていけばよいのかを伝授している。「若者の部下」「年上の部下」「できる部下」「女性の部下」「やる気のない部下」という形だが、個人差があるため、大枠としての接し方を学び、そしてそれらを個々の状況に合わせてカスタマイズしていけば良い。

上司はあくまで「仕事」は教えず、もっと仕事に関連して大切なことを教える。それはモチベーションや仕事以前の基本的なこと、あるいはプロフェッショナルや考え方など、口に出して教えることもあれば、部下に対して気づかせるように仕向けるなど、ありとあらゆる方法がある。部下が育つためには上司の存在は不可欠であるが、あくまで仕事のイロハではなく、もっと大切なことを教えるためにいるのである。