絶食系男子となでしこ姫―国際結婚の現在・過去・未来

「草食系男子」という言葉は約7年前にコラムニストの深澤真紀氏がコラムにて「草食男子」として取り上げられたことが始まりである。当初はポジティブな意味で取り上げられていたのだが、それが広がりを持ち始めてから、むしろネガティブに扱われるようになった。そのネガティブな傾向が発展して本書のタイトルにある「絶食系男子」が生まれ、使われるようになった。

その一方で本書に出会うまで「なでしこ姫」の存在すら知らなかった。そもそもそういう人が多くなってきているのか、そしてその傾向により、日本人の結婚はどうなるのか、その現状について取り上げている。

第1章「アジアにおける日本人女性の国際結婚」
今となって国際結婚は当たり前の状態になっているが、それでもなお敷居が高い印象が強い。とはいえ女性は理想の外国人男性を求め海外に目を向ける傾向が強いという。その傾向によってアジアで国際結婚をしようとする女性もいるという。

第2章「国際結婚の背景にある日本社会の現状」
女性の結婚は元々高度経済成長期には「上昇婚」と呼ばれる自らの世帯よりも収入が安定して高いところ、あるいは学歴が高いところを選んでいたのだが、そこに限界が見えたというのが挙げられる。

第3章「経済力が低下する日本人男性と国際結婚の動向」
日本人男性を敬遠し、外国人男性を求める傾向としてもう一つ挙げられるのが「男性の経済力の低下」が挙げられる。日本の経済状況が停滞したことも挙げられるのだが、そのことも相まって男性の「絶食化」となった遠因ともなったという。それらの要因が重なり、日本人女性が男を求め、海外に出ていく傾向があるという。

第4章「絶食系男子とロマンティック・ラブは成立するか」
「絶食系男子」が増えてきている状況であるのだが、それでもなお女性は男性の求婚を待っているのだという。しかし絶食系男子はその声を認知しているかどうか不明である。

第5章「あなたにとっての「結婚の決め手」は何ですか?」
本章では「恋愛」までは発展するものの、結婚までに発展しない原因について取りあげている。そもそも「結婚」に至るまでのきっかけとして、何らかの「恋愛」が多いのは今も昔も変わりないという。もちろんその恋愛の引き金となるのは、職場の同僚や学校の同級生など様々な要因が挙げられる。

第6章「「予定調和」な幸福を夢見ることはできない?」
日本人は空気を読む民族であり、「予定調和」も好む。その「予定調和」について日本人の結婚とどのように関係しているのか、そのことについて取りあげている。

第7章「グローバル化の中での「偶然の出会い」」
日本人女性が国際結婚に走る傾向にあることは書いたのだが、ではどのようにして出会うのか、そのきっかけとして、友人の紹介や職場の同僚などもあれば、日本語学校や海外旅行などがきっかけで「偶然の出会い」が起こるという。

第8章「恋愛にも結婚にも積極的なアジア人男性」
日本人男性は絶食化してしまう傾向にあるのだが、そういった状況の中アジア全体ではどうなのかと言うと、日本人とは逆に積極的であるという。

第9章「「運命の赤い糸」で結ばれる理由」
国際結婚の傾向として「偶然の出会い」から恋愛に発展し、それから結婚になるまでのプロセスとして「運命の赤い糸」になるという。そのようなケースとして「ロミオとジュリエット」「白雪姫」「かぐや姫」などおとぎ話などを引き合いに出しながら取りあげている。

第10章「日本では、キャリアも家族も手に入れにくい」
未婚女性が海外に目を向ける理由として日本人男性の絶食化もあるのだが、ほかにも日本に対する絶望も挙げられている。その絶望の要因として「キャリア」や「家族」が手に入りにくいとしている。ほかにもワークライフバランスや女性のキャリア構築ができにくいというのも要因として挙げられている。

第11章「パンドラの箱を開けてもいないのに「希望」すらもない?」
「パンドラの箱を開けてもいない」はもののたとえで、勇気を持って踏み出していない、あるいは慎重になり過ぎていることを形容している。慎重になり過ぎてしまうと行動も自ずと制限してしまい、希望すら得られなくなると言う。

日本の男性・女性共々結婚観が変化しているのだが、その変化によって隔たりが大きなものになってしまっている。もちろんその原因は男性・女性両方にあるのだが、その原因を解決し、結婚率を高めるためにはどうしたらよいのか、その糸口は見えない。