働かないオジサンの給料はなぜ高いのか―人事評価の真実

労働問題はいつ何時も起こるのだが、現時点で起こっているものとして本書にて取り上げる「働かないオジサン」の話がある。「働かないオジサン」は主に50代前後の方々がそれなりのポストにいるにもかかわらず、会社の中で仕事をせず、高い給料を取っている状況にある。なぜ彼らがいるのかというと、今ある日本の「年功序列」によって起こった弊害にある。その弊害と「働かないオジサン」はどのような関係があるのか、そしてそれを解決するためにはどうしたらよいのか、本書はそのことについて取り上げている。

第1章「オジサンは「同士」を求めている」
なぜ働かないオジサンができてしまうのか、まずはオジサンたちが何を求めるのかについて取り上げている。本章で表す「同士」とは何かというと、

「後輩、同僚として一緒に働ける人」(p.19より)

であり、戦友というよりも、パートナーとして求めているといえる。能力やスキルというよりも「一緒に~」というのが重要な要素であるという。その「一緒に~」というのが日本独特の「メンバーシップ契約」にあるという。

第2章「「同期」が成果主義を阻む」
今となっては日本企業でも海外と同じように「成果主義」が導入されるところが増えてきているのだが、実際のところ浸透しているのかというと、首をかしげてしまう。その理由として、本章が挙げられる。

第3章「若い頃は、常に上司の期待を上回れ」
若手の社員たちは出世を求めているのかというと、意識調査で「出世しなくても好きな仕事で楽しくしたい」という答えが多かったという。そういった状況の中で若手は何を求めたらよいのか、それは「上司の期待を上回る」ことが大切であるという。

第4章「偉くなる人とうまくやれる人が偉くなる」
会社で出世するためには、単純に仕事がうまくいくだけではだめで、むしろ「社内政治」といわれる根回しが必要になる。その根回しを行っていくにあたり、上司や幹部などの偉い人、偉くなる人との人付き合いが大切になってくる。会社など「組織」を動かすのは「人」であるため、人をどのように付き合っていくことが肝心になってくる。

第5章「「働かないオジサン」はどうすればいいのか」
そもそも働かないオジサンが出てくるのは、管理職への昇格が限られているだけではなく、昇格できない方々が増え、働かないオジサンが生まれるという。これが官公庁の世界では出向されるか、辞めるか迫られるが、民間の会社ではそういったことがないため、そうなってしまうのだという。

第6章「「終身雇用の正社員」だけが正解じゃない」
働かないオジサンが生まれた原因としては第5章にて取り上げたのだが、根本的な原因として挙げられるのが、かつて日本にあった「終身雇用」があった。また、ほかにも「有給休暇」の取り残しなど日本における労働環境の現状について取り上げている。

第7章「自分が働く会社の出世メカニズムを知れ」
そういう状況の中若手の会社員たちはどうしたらよいのか、それは自分自身の会社と自分自身それぞれなのだが、共通して言えるのは会社の出世のメカニズム、人事評価の基準を知り、動くことが大切であるという。

人も同じだが会社もまた変化している。その変化に対応できるためには、自分と会社を知ることが大切である。これは若手のみならず「働かないオジサン」になってしまっている方々にも言える。「もう年だから」というのは理由にならない。自分自身の方向性を見出し、会社のために何を貢献していけるのか、そして自分はどのような存在になるか、そして将来の夢や目標は何なのか、それはどの世代にも求められる命題である。