わたしのノラネコ研究

ノラネコは私自身の家の近くにもいて、毎晩買い物帰りの時に出くわす。元々私自身、猫が好きなので、ノラネコが振り向くように仕向けることが日常になっている。最近では振り向くことが多くなってきており、猫とじゃれることが楽しくなってきている今日この頃である。そのノラネコはどのような生態なのだろうか、本書は福岡県で7年間にわたって200匹ものノラネコを研究し続けた結晶となる一冊である。

第1章「なぜノラネコ研究」
なぜ著者はノラネコを研究したのか、大学の先輩から「ノラネコの研究やってみない?」と助言されたことだという。そもそも著者は動物の生態について研究を行っており、どの動物を研究しようかどうか悩んでいたことからその助言により定まった。
そうしてノラネコを研究することになったのだが、研究にも「目的」が必要になってくる。では著者がなぜノラネコ研究を行ったのか、それは哺乳類の生態だけではなく、社会についての謎も知ることができるという。

第2章「だれにでもできるノラネコ研究ことはじめ」
本章ではノラネコの研究方法について取り上げているのだが、著者に言わせると「誰でもできる」のだという。特徴を識別したり、行動範囲をとらえたりという方法はあるのだが、それについても具体的にどのように行ってきたのか、証跡を残しながら説明している。

第3章「わたしのノラネコ研究」
著者がノラネコ研究を行った具体的な場所は「福岡県神宮町相島」という玄界灘に浮かぶ小さな島である。そこは「ノラネコのたくさんいる島」として有名であり、ノラネコを研究している著者にとっては持ってこいの島と言えた。もちろん著者はそこに7年も住み、定期的に研究に勤しんだ。その相島に住んだ7年間の中でノラネコはどのような行動をしていたのか、そして年間を通じてどのような活動を行っているのか、そのことについて取り上げられている。

ノラネコ研究というと一見ユニークに見えるのだが、動物の生態を知る上で重要な要素の一つであり、なおかつ、第2章でも述べたように社会そのものの縮図が見えてくる。本書はそれを見出す一冊と言える。