退職金貧乏―定年後の「お金」の話

団塊の世代がすでに続々と定年退職を迎えるようになっていった。その状況の中大量の退職金をもらうようになるのだが、その退職金が貧乏になってしまう引き金になってしまう。それはどうしてなのかというと「お金」をいかに運用していくのかを全くすることがないというものである。老後裕福とまではいかなくても、慎ましやかに生きることができるためにはお金が必要になるのだが、そこには頭を使って資金を守る必要がある。

では、資金を「守る」ためにどのようなことをしたら良いのかというと、大きなヒントとして「運用」が重要なキーワードが挙げられる。本書はそのことについて取り上げている。

第1章「老後の資金はいくら必要か?」
老後、年金は職業によって異なるが、平均でも毎月約5万4千円もらえる(平成25年度、また厚生年金は毎月約14万5千円)。ほかにも退職金の切り崩しがあるのだが、何もせずに切り崩し続けてしまうと、いつか無くなってしまう。そのことから貧乏になってしまう。
老後になってから全部でいくら必要になるかは寿命がどれくらいになるのかわからないのだが、毎月の計算であればおのずと見えてくる。そのため本章では資金が必要なのかについて「月額」ベースで計算し、合計でどれくらい必要か算出している。

第2章「退職金運用の前に」
その退職金貧乏から防ぐために「運用」をすることが必要になってくる。しかし運用といっても専門的な知識が必要になってくるため、覚えようとしてもなかなか覚えられないのが実情であり、なおかつそれを悪用した詐欺に遭ってしまい、いつの間にか退職金が全部取られてしまうような悲劇もある。それを避けるために、運用にまつわる最低限の心得と知識についてわかりやすく説明されている。願わくば本書と資産運用の超入門書にあたるような本を一冊揃えておくと良い。

第3章「金融商品と年金の基礎知識」
金融商品と言っても銀行や証券会社など独自のものがあり、しかも複雑なものもある。とはいえ金融商品には「預金」「株式投資」「投資信託」「債券」「保険」などがある。それらについての特徴や選び方について取り上げられている。ほかにも毎月受け取る年金の基礎についてもレクチャーできる章である。

第4章「退職金運用のモデルケース」
基礎的な知識を教わっていても、実際にどのような運用をしたら良いのかわからない方も多い。では具体的にどういったケースでもって運用をしていけば良いのか、本章では年代ごとに例示している。

第5章「はじめての投資と運用」
基礎知識とモデルケースを知ることができたのだが、では実際に運用していくにはどうしたらよいのか、わからなくなる。本章ではどのようにして選んでいけば良いのか、そのことについて伝授している。もちろん最初からいきなり購入するというよりも本書と金融商品のパンフレットを併読してみると良い。

第6章「相続と遺言」
相続を巡った骨肉の争いは少なくない。その争いから避ける、そして円滑に相続が行えるようになるためには、遺言書が必要になる。より確実に行うために「公証人役場」の立ち合いで行う、「公正証書遺言」をすることが大切である。ほかにも相続税の対策も必要になってくるのだが、そのことについても言及している。

もしもあなたが退職をして退職金を受け取るときにどうしたらよいのか、それは「自分の身は自分で守る」ことを念頭に、貧乏にならないように頭を使って、本書を実践することが必要になってくる。もちろん資産運用はすべて「自己責任」で行われ、元本保証もない。そのリスクを享受しながら、いかに守っていくのかそれは退職金を受け取る前に考える必要がある。