東京スカイツリー論

2012年に竣工し、オープンしたのが押上にある「東京スカイツリー」である。高さ634メートルに及ぶタワーには、観光名所として知られるだけではなく、なおかつ放送において最も重要な役割を担う箇所として知られる。そのスカイツリーは日本として、そして世界としてどのような存在となるのか。本書は「インフラ」「タウン」「コミュニケーション」など様々な角度の立ち位置について取り上げている。

第1章「インフラ編/東京スカイツリーに背負わされたもの」
元々タワーと呼ばれる存在だったのが、高さ333メートルある東京タワーであった。それが取って代わる存在となっていったのだが、オープンする前にある出来事があった。2011年7月24日の「テレビの地上アナログ放送停波」である。そのアナログ放送からデジタル放送に完全移行したときに、そのテレビの電波を担うのが東京スカイツリーである。

第2章「タワー編/世界タワー史のなかのスカイツリー」
本章では立ち位置というよりもタワーとしての「建造物」について取りあげている。ちなみにどのようにして取り上げられているのかというと、スカイツリー前後の高さのある世界のタワー、そして通天閣・東京タワーなどの日本のタワーの歴史を比較しながら考察を行っている。

第3章「タウン編/都市と日本史を駆動する「Rising East」」
東京スカイツリーは東京、そして日本の歴史としてどのような役割を担うのか、本章では日本橋をはじめとした江戸・東京各地の歴史、地理とともに紐解いている。

第4章「コミュニケーション編/地元ムーブメントはいかにスカイツリーを“拡張”したか」
東京スカイツリーが建てられるまで、様々な苦難・討議・試行錯誤が存在した。その中で建設開始するまでの住民に対する説明やコミット、そして建設に向けたイベント開催など様々な形で地域住民、そして東京や日本全土にまで広げてコミュニケーションを取った。

第5章「ビジョン編/スカイツリーから構想する<拡張近代(オーグメンテッド・モダニティ)>の暁」
東京スカイツリーが着工し、竣工し、そしてオープンしたのだが、そのスカイツリーを通じて、どのような歴史を紡ぐのか、そしてどのような存在となっていくのか、歴史とともに考察を行っている。

私自身東京スカイツリーに行ったことがないのだが、いつか行ってみたいと思うところである。スカイツリーがオープンして3年、その3年の中でスカイツリー近辺でも大きな変化があったという。その変化はどの方向に行くのか、それは本書の言うスカイツリー論がさらに深まっていけばわかるのかもしれない。