水木しげる がんばるなかれ―小さなことを笑い飛ばすコトバ

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昨日、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」をはじめ、多くの作品を生み出し、なおかつ妖怪学の草分け的存在であり、漫画界の大重鎮と呼ばれた水木しげる氏が逝去した。水木氏の足跡は、漫画界はもちろんのこと、妖怪に関すること全般に関して多大なる貢献を果たし、影響を与えたといっても過言ではない。
その水木氏の生涯の中でもっとも意識していたこととは一体何か、その一つとして「言葉」がある。水木氏の93年にも及ぶ生涯の基軸となった「言葉」には何があるのか、本書はそのことについて綴っている。

第1章「少し立ち止まって自分を休みましょう」

「ときどき怠けることは、生きていくうえで大切なことです」(p.21より)
「わけがわからないうちにアタフタと働いて、アタフタと死ぬのはつまらない」(p.26より)

水木氏は93年間ずっと全速力で突っ走っていったわけではない。上の言葉にあるように時には怠けつつ、なおかつ1日を楽しむように生きていた。そのこともあって、周囲で働いている人々を見て、「立ち止まる」ことの重要性を本章にて説いた。

第2章「人生、これからが楽しくなるんです」

「中年を過ぎたら、愉快になまけるクセをつけなきゃ、いつまでもシアワセにはなれません」(p.62より)
「老後じゃと?そんな心配は人間のすることじゃ ほかにもっとやることがあるはずじゃ」(p.65より)

医療技術や健康の進化により、日本では有数の長寿国とまでなった。今となっては高齢者の数の方が多い「高齢化社会」と呼ばれている。そのような社会の中で年を取るためにどうしたら良いのか、自らの体験の中で「楽しく」が基軸となっている。

第3章「この世はオモシロイことばかり」

「世の中には不思議なことが多すぎて、とても楽しい」(p.77より)
「“貧乏”は発明の母である」(p.90より)

「オモシロイ」ものは、実は身近な所にある。ある人によっては不幸なことも、実のところ見方・やり方によっては「オモシロく」することができる。水木氏は戦争を体験し、さらには戦後、貸本時代には貧乏の時代が続いたという。しかしその過酷だった時代を武器委にして人気作家へのきっかけをつくり、駆け上がっていった。

第4章「本当に好きな道はあきらめない」

「努力に見合うマネーが得られないからといって、絶望したり、悲観したり、愚痴をこぼしてはいけません。ただただ努力するのです。好きな道なのですから」(p.96より)
「才能は始めからあるわけではない。一日一日と積み重ねるのだ。空っぽの頭に入れてゆくのだ」(p.102より)

水木氏自身、漫画を書くことは本当に「好きな道」だった。もちろん第3章でも書いたように貧乏で、報われなかった時代もあったのだが、それでもあきらめずに、それでいて悲観すること無く、こつこつと研鑽していくことによって前に進むことができたという。

第5章「世の中はいろいろあるけれど」

「虫の中にいろいろな種類があるように、われわれ人間にも、いろいろな種類があるのだ」(p.112より)
「平和な空気を吸って人間の食うものを食っていれば、それが天国」(p.128より)

世の中は色々なものがあるし、色々な人がいるのだが、それについて相容れることのできない人もいる。もっと言うと色々な種類がいるのにも関わらず、「常識」や「規範」にばかりとらわれてしまい、排他的になってしまう人もいる。「みんな違ってみんな良い」という言葉をよく聞くがまさにそのことを本章では言っているし、色々あるけれど、それを認め、享受して生きていこうと言うことを水木氏は言っているのかもしれない。

本書は名言集という体であるが、水木氏なりの自然体の言葉を表しており、水木氏の人生そのものが一つ一つの言葉として刻まれており、その集合体として108個が本書に詰まっている。水木氏の人となりを知るだけでは無く、水木氏の背中を垣間見ることもできれば、それがきっかけとなって自身の人生を見直す良い機会となる一冊と言える。

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