町の忘れもの

「町」には様々な風景を持っており、その風景は時代とともに変化をする。もちろん印象的な町並みも変化とともに、風化してしまい、ないがしろにされていってしまう。本書はその忘れ去られようとしている町並みについて本という媒体を使って残している。

第1章「失われたものたち」
一昔前、ごく当たり前に存在した「貸本屋」や「おみくじ機」「リヤカー」と言ったものがある。その一昔前の姿の写真と、それが失われた「今」の写真について取り上げながら、なぜ昔存在しており、なぜ失われていったのかそのことについて綴っている。

第2章「忘れられた風景」
町はめまぐるしく変化する。その変化は昔懐かしい風景を破壊するようなことにもつながる場合がある。その破壊によってだんだんと私たちの中での記憶が風化し、忘れ去られていってしまう。その忘れ去られてしまった風景について大まかな光景からゴミ箱や煙突といった小さな風景まで取り上げている。

第3章「こんな習慣があったっけ……」
習慣も時代とともに風化してしまったものもある。本章では「骨の天日干し」や「公衆電話」と言ったモニュメントやカンバン、さらには習慣と言ったものがある。本章ではそれについて取り上げている。

第4章「幻の町をめぐる」
東京にも「幻の町」と呼ばれるようなところがあるという。「町」といっても、東京都の「●●町」と言ったものではなく、地名としての「町」を取り上げている。その町の中には昭和の息吹が残っているのだが、その光景の変化とともに取り上げている。

本書、特に本書に掲載している写真を見てみると、私たちが忘れてしまった姿もあれば、私自身の知らなかった情緒あふれる東京、ないしその周辺の姿がそこにあった。今となっては高層ビル化などの都市化に伴いその姿は失われていった。本書は在りし日の姿を記録したものであるのだが、それを懐かしむのか、新しいものに映るのか、それはあなた次第である。