異常気象と地球温暖化――未来に何が待っているか

「異常気象」という言葉が乱舞している時代である。そもそも先週も12月としては季節外れの大雨で、なおかつ初秋並みの暖かさになるといったことがあった。その「異常気象」と呼ばれるような事象の根本原因として「地球温暖化」が挙げられているのだが、そもそも地球温暖化自体も賛否双方で激しい論争が起こっている。本書はその「異常気象」と地球温暖化の関連性について取り上げている。

第1章「異常気象」
そもそも「異常気象」とは、

「ある場所(地域)・ある時間(週、月、季節)において、30年に1回以下の頻度で発生する現象」(pp.2-3より)

と言われている。一昨年運用がスタートした「特別警報」は「50年に1度」という頻度のもとで使われていることを考えると異常気象の中に当てはまるとも言えるのかも知れない。
その「異常気象」は1年の中で何回も見るのだが、そもそも長期的な気象の変化が起こっているのか、それとも未来永劫変わらないのか、そしてその変化は「異常気象」と一括りにして良いのか正直言って分からない。

第2章「地球の気候はどう決まっているか」
地球の気候システムと言っても、地域によって1年中夏のような所もあれば、1年中冬のような所もあるため一概には言えないように思えるのだが、実際に晴・曇・雨(雪)がどのように出来るのかという基本的な所は世界共通である。本章ではその基本的な所から、昨今起こっている「エルニーニョ現象」についても取り上げている。

第3章「気候変動の過去と現在」
気候変動について地球の誕生から遡り、どのような変動があったのかを取り上げている。「地球温暖化」における激しい議論の根源はこの気候変動の起点と推移がどこにするのか、そしてその統計を元に未来におけるシミュレーションをするのかで、論者によって大きく変わってくる。しかしその気候変動はどのようなものか、本章ではその概要的なことについて取り上げている。

第4章「二一世紀の地球はどうなるか」
未来の気候についてのシミュレーションは論者・研究者によって異なると言うことは第3章で述べたのだが、そのシミュレーションやモデルはどのようなものがあるのか、それについて取り上げている。

第5章「日本の気候はどうなるか」
日本の気候はと言うと、最近では、夏はゲリラ豪雨や台風が起こったり、冬は暴風雪や大雪になったり、さらに年中でいうと地震や崖崩れになったりと言うようなものがある。本章はその日本における気候の変化について現在起きていることともに分析している。

第6章「気候のティッピングポイント」
気候が不安定になるとき、その臨界値として「ティッピングポイント」と呼ばれるという。そのティッピングポイントがどこで付けられ、計測されるのか、そのことについて取り上げている。

第7章「気候変動の影響―緩和策と適応策」
気候変動を抑えることは非常に難しい。出来ると言っても公害を抑えるといったことがあるのだが、それ以外にあるのかというとなかなか思い浮かばない。抑えることは難しくても適応するための対策であれば立てようがある。本章はその緩和策と適応策の両方を提示している。

異常気象と地球温暖化は現在進行形で進んでいると言われているが、それもまだ論争がある。とはいえ昨今の気象状況が異常と言えば「異常」と言える。その中でどのように適応していくのか、その参考材料となる一冊である。