終の日までの

人は誰でも「死」を迎える。その「死」を迎えるに当たって、遺産をどうするか、葬式をどうするのかなど考える、いわゆる「終活」を行う方も出てきている。もちろん本屋に行くと、「エンディングノート」などの終活にまつわる本が色々とある。

本書は「終活」ではないのだが、遺品整理や家族の死に直面をした時にどうするのかを描いた作品である。家族の死というのは想像を絶するほどの衝撃と喪失感、悲しみが生まれるのだが、その予行演習の役割もあり、なおかつ、もしも自分が亡くなった時に家族はどう安心させたら良いのかという、ある意味の参考材料となる小説である。

参考材料と言える所以として、家族の誰かが大病により余命宣告を受け、老い、亡くなっていくのか、そして亡くなった後、残された家族はどのような状況になるのか、それについておそらくそういった方々の取材を何度もしてきたせいか事細かに描写されているため、追体験がしやすいようにつくられている。そう言う意味では小説であるが、終活を行いたい方にとっては適している一冊と言える。