タックス・イーター――消えていく税金

先日、税における経済の思想史について取り上げた。今回は税にまつわるところで、ちょっと良からぬ話について取り上げた一冊を紹介する。本書はどのようなものなのかというと、「タックス・イーター」と呼ばれる税を食い物にするような人々の実態とその対策についてである。

第1章「タックス・イーターの起源」
日本の三大義務である「納税の義務」において日本人は国・地方などに税金を納める。その税金は国・地方行政の財源として扱われ、公共サービス、国であれば軍事や外交などの費用にも使われる。しかしそういった税金がなぜ「タックス・イーター」と呼ばれる人々の食い物にされていったのか、その要因は複数あり、なおかつ付け入られるところも数多くあるため、特定は容易ではないという。要因はそれぞれではあるものの、起源として挙げられるのは「高度経済成長」や「ニクソン・ショック」と言ったところで共通している。

第2章「タックス・イーターが群がるもの」
タックス・イーターとはどのような存在かは次章にて詳しく取り上げるとして、本書ではそういった方々がどこに群がるのかについて5点挙げられている。そのうちの2つが1月4日から始まった通常国会で論議される最重要事項である。

第3章「タックス・イーターとは何者か」
では本題の「タックス・イーター」とは何者かである。案の定であるのだが大きく分けて「族議員」と「官僚」である。しかし「族議員」や「官僚」と言っても種類があり、その食い物にする対象も変わってくる。本章ではそれについて細かく説明されている。

第4章「終わりなき行政改革―タックス・イーターとの戦い 国内編」
行政改革は今も昔も行われているのだが、その改革の中で本章のサブタイトルにある戦いがある。その戦いの歴史は本章にて「土光臨調」と呼ばれる中曽根政権下で行われた「第二次臨時行政調査会」から始まっている。それから様々な改革が行われたのだが、それらが成功したかどうかも検証している。

第5章「国境を越えて―タックス・イーターとの戦い 国際編」
タックス・イーターとの戦いは海を越えたところでも行われているのにはびっくりした。しかしよくよく見てみると「多国籍企業」の存在、そして租税回避のために海外を利用すると言ったものが挙げられる。

第6章「問題の所在と対策」
これまで述べた「タックス・イーター」の問題の原因はどこにあるのか、そこには予算の策定や執行に関するところもあり、その予算の執行を監視する会計検査院の存在もある。本章では前章までの問題点の整理から、タックス・イーターを撲滅するためにどのような対策が必要なのかを提言している。

個人事業主の確定申告の開始が近づき、通常国会も始まっているのにも関わらず、好ましくないような本を取り上げたのだが、その存在があるからと言って税金を納めていけないというわけではない。とはいえ、本書のことは頭の片隅に入れておいた方が良い。