骨風

本書のタイトルからして無骨な作品のイメージがあったのだが、実際に中身を見てみると短編集であり、表現もけっこうそぎ落としつつ、伝えるところは伝えられている作品である。しかしそれでいて繊細で、痛みや「死」といったことを向き合いながら、ひたむきに生き続けるような姿を映し出している。

もちろん短編集であるので、表題作の「骨風」や「矩形(くけい)の玉」「花喰い」「鹿が転ぶ」「蠅ダマシ」「風の玉子」「今日は はればれ」「影踏み」といった作品が収録されている。

舞台も主人公も異なるのだが、共通して言えるのが、最初にも書いたオーバーな表現はそぎ落としつつ、人の描写が繊細であり、なおかつ人生や人としての「生と死」を突きつける。しかもその突きつけ方はそれぞれの作品異なるのだから、一つ一つの作品が同じようでいながら楽しめる。短編集でありながら読みごたえもある一方で、スッと物語に入っていける作品でもあった。