オオグソクムシの謎

「オオグソクムシ」は2013年2月16日、愛知県蒲郡市の竹島水族館が、卵を孵化させることに日本で初めて成功したことが発端となり、一躍ブームとなった。オオグソクムシを観に竹島水族館に訪れる人が多くなったのだという。

あれから3年近く経つのだが、オオグソクムシのブームはまだ起こっているのかどうかは定かではないのだが、ちょっとオオグソクムシについて知りたい部分があったため本書を手に取ってみた。本書はオオグソクムシの生態から個性と行ったことを隅々まで解明している。

第1章「心という存在」
動物に「心」が存在するのかは以前に書評した著者の前著である「ダンゴムシに心はあるのか 新しい心の科学」という本で取り上げている。本書はオオグソクムシにフォーカスを当てているのだが、その心の動きについてオオグソクムシと類似しているダンゴムシの行動実験から心の存在を明かしている。

第2章「オオグソクムシの心と個性」
オオグソクムシというといかにもダンゴムシやワラジムシを大きくし、白くしたような姿であるのだが、どことなくかわいさもあり、それが起因となって人気を呼んでいるのかも知れない。そのオオグソクムシの個性とはいったい何なのか、本章ではオオグソクムシの姿について事細かに解説している。

第3章「オオグソクムシの心の機微」
オオグソクムシの心はどのように動き、その動きはどれくらいなのか、本章では実際にオオグソクムシの行動についての実験を行うのだが、その準備段階も含めて取り上げている。

第4章「ダンゴムシの個性」
ここではオオグソクムシを離れ、それに似ているダンゴムシにフォーカスを当てている。ダンゴムシの個性と言えば、敵から身を守るために体を丸めて球状になる。そのことがダンゴのようなものであることからダンゴムシと名付けられている。そのダンゴムシが丸くなる、そして元に戻るための条件とは何か、本章では実験と共に明かしている。

第5章「ダンゴムシの心の機微」
ダンゴムシの心の機微はどのようなものか、こちらもまた実験を通じて解き明かしているが、どのような実験なのかというと、ダンゴムシをある迷路に進ませ、どういった行動をするのかを見るというものである。前著でも同じような実験を行っているので、前著を知っている方は本章と前章は読み飛ばしても大丈夫である。

第6章「心は妖怪」
何かおどろおどろしいようなタイトルであるが、あたかも妖怪のように心は変幻自在であることを行っている。もちろんその「心」は人間でもダンゴムシでも、オオグソクムシでも変わりはない。

本書の最初にはオオグソクムシの写真がふんだんに収録されている。見てみると第2章の冒頭でも述べたようにダンゴムシのように見えて、どこかしらかわいい。私自身は見たことがないのだが、もし機会があれば見てみたいものである。