新版 アフォーダンス

LINEで送る
LinkedIn にシェア
[`evernote` not found]

「アフォーダンス」と言う言葉を聞いたことはおそらく少数だろう。そもそもそれについて研究している、あるいは学んでいる人でないと、これはあまり聞かない。では「アフォーダンス」とは何か、調べてみると、

「環境が動物に対して与える「意味」のことである。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、生態光学、生態心理学の基底的概念である」(Wikipediaより)

とある。単純に言えば森羅万象の「意味」を学問的に表した造語であるが、そもそもジェームズ・J・ギブソンはなぜ「アフォーダンス」を定義づけたのか、そしてアフォーダンスは科学的な見地からどのような立ち位置にあり、どのような研究・学問なのか、そのことについて取り上げている。

1.「ギブソンの歩み」
本章ではアフォーダンスそのものに入る前に、それを定義づけたジェームズ・J・ギブソンの生涯を追っている。ジェームズは大学で心理学を専攻し、その後に心理学者となったが、第二次世界大戦の時に空軍の知覚研究プロジェクトにも参画した。その後「アフォーダンス」を発見し、定義づけた。

2.「ビジュアル・ワールド」
そのジェームズが空軍の知覚研究プロジェクトに参加した中で「空軍視覚テストフィルムユニット」なるものがあった。そのユニットは視覚の中で優れた空間能力を持っている人を選ぶというものであるが、その「空間」の能力を見極めるにはどうしたら良いか、それの研究を行ったという。その中で「ビジュアル・ワールド」が出てきている。

3.「情報は光の中にある」
戦後、空軍のプロジェクト参加がきっかけとなり、空間からの情報を取り入れるための「光」が研究の的となっていった。光と言っても蛍光灯や太陽から受ける情報と言うよりも、皆が眼で見ている情報全てがどのような光を受けて、その光が情報となって脳に行き、脳に映像となって見えてくると言うものである。その光がどのようにして人間の眼に情報を受けるのか、そのメカニズムについて取り上げている。

4.「エコロジカル・リアリズム」
ここで初めて「アフォーダンス」が出てくる。前段階は何だったのかとツッコまれてしまうのだが、これまでがアフォーダンスの定義づけるための大きな材料である。前章で述べた「光」の情報は眼でとらえ、脳に伝わり、脳内で情報が処理されるわけであるが、その「眼でとらえる」所を「刺激」、そして「眼から得た情報を脳内に伝わる」ことを「入力」として扱われ、それが直接知覚としてとらえる。その直接知覚にて得ている、情報の意味や価値そのものを「アフォーダンス」と言われるという。ちなみにギブソンは環境や空気、物質でアフォーダンスは構成しているという。

5.「知覚システム」
様々な情報を処理するのが脳内であるが、その中でも「知覚システム」なるものが情報を処理し、アフォーダンスをなしている。その知覚システムには5つのものが存在しており、その「5つ」は五感の中にある。

6.「協調構造」
知覚システムは五感の数だけあるが、それが別々の働きをしている。もちろんそれぞれの役割が衝突してしまっては正しい情報が伝わらない。そのための「制御」にあたる「協調構造」がある。

本書は1994年に出版されたが反響があり、ちょうど初版が出版されて20年に当たる節目に再版された。その再版にあたって入門書としてもっとわかりやすくした形に修正されたという。ただ、アフォーダンスを知るためには、人体や脳など少し勉強しておいた方がすんなりと頭に入りやすい。もちろん本書でも基礎的なことは言及しているが、全く知識がないととてもじゃないがついていけない。

スポンサーリンク