TSUTAYAの謎

最近は行かなくなったのだが、以前は頻繁に足を運び、DVDやCDをレンタルすることが多かった。もちろんTSUTAYAをもととなっている「Tカード」はTSUTAYAをはじめ、ありとあらゆるところでポイントを貯めたり、使ったりすることができる。

本書はレンタルをはじめ様々な種類の事業展開を行っているTSUTAYAのこれまでとこれからについて、TSUTAYAの母体であるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の代表取締役社長の増田宗昭氏に質問をぶつけ、増田氏が答えるという形式で明かしている。

第1章「なぜ、TSUTAYAが家電店?」
二子玉川駅の近くに「蔦屋家電」が誕生したという。元々本の販売やCD・DVD・マンガのレンタルなどを行っていたのだが、なぜ家電販売業界に進出したのか、本章では「効率」や「商品陳列」などについて疑問を上げるとともに、今まで行ってきたCD・DVDのレンタルなどの面を経験に、新しい生活提案が可能ではないかと判断した。その判断した先に「家電」があったという。

第2章「なぜ、巨大書店を全国展開?」
巨大書店の全国展開といえば、丸善やジュンク堂、紀伊国屋書店など、大型店舗が全国展開しているから、レッドオーシャンに飛び込んでいるのではないかと思いがちであるが、実際に代官山に「蔦屋書店」という巨大書店を立てたという。もちろん巨大書店をつくることとなると町の書店が無くなるという反対意見がある。しかしそれ以上に著者は出版業界に関する危機感でもって全国展開をするのだという。

第3章「なぜ、ビッグデータより勘なの?」
TSUTAYAのTカード会員はもはや5667万人(2015年12月現在)おり、買い物などでポイントを貯めたり、使ったりしている。その蓄積によって「ビッグデータ」ができ、CCCの戦略構築の土壌ができている印象にあるのだが、増田氏はそのビッグデータに頼りきりではなく、データも必要であるが、商人としての「勘」も必要であるという。

第4章「なぜ、“おんな”の気持ちがわかるの?」
言うまでもなく増田氏は男性であるが、そもそも増田氏は少年時代には女に囲まれるような人生だったという。ほかにも様々な女性と出会い、つきあった経験もあってか「“おんな”の気持ち」がわかるようになったという。

第5章「なぜ、会社を「小さく」するの?」
今となってCCCは巨大企業の一つというイメージが持たれがちであり、それをさらに拡大したいのかという思いもあるように見えたのだが、増田氏の答えはその逆であるという。なぜ「小さく」したいのか、そこには「原点」が大きくかかわっているからである。

増田氏への質問を増田氏が回答するたびに、TSUTAYAの抱いていたイメージが崩壊するとともに、増田氏ならではの考え方がよくわかる。もしもTSUTAYA、およびCCCに対する固定観念を持っている方であれば、本書で読んでいくと、その固定観念が崩壊するとともに、増田氏の持っている理念がわかってくる。

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