経団連―落日の財界総本山

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経団連(日本経済団体連合会)の会長は俗に「財界総理」と呼ばれた。その要因として財界と政界とのパイプだけではなく、財界にも政界にも大きな影響力を与えること、さらには財界の立場から政治的に関与するという意味合いを持っている。その政財界双方に大きな影響力を持つ経団連は現在、人材の枯渇が起こっており、力も衰えているのだという。そもそもなぜ経団連は衰退するのか、そして財界は現在どのような変化が起こっているのだろうか、そのことについて経済の第一線で取材を続けている記者が追っている。

第1章「「財界人」の枯渇」
前の経団連の会長に就任した住友化学会長の米倉宏昌氏は元々経団連の副会長で、副会長を退き、しばらくして会長に就任した、いわゆる「副会長OB」である。もっともその「副会長OB」を選ばざるを得ないにも理由があり、一つは財界活動に消極的になってきたこと、もう一つは大企業でも、財界活動に必要な「社格」が薄れてきていることなどが挙げられる。もちろんほかにも理由があるのかもしれないが、様々な理由から、財界活動ができる「財界人」がだんだん減ってきているのも会長が選べなくなること、さらには経団連の衰退の要因となっている。

第2章「会長の条件」
では、会長になれる人の「条件」とはいったい何なのか、本章では経団連の初代会長である石川一郎の生涯を取り上げつつ、経団連会長としてどのような人物が必要なのかというのを取り上げている。そもそも石川も激動の時代を経団連会長として潜り抜けてきたのだが、その行動がのちの経団連の規範となっていたからである。

第3章「「財界総理」と呼ばれた男」
経団連会長が「財界総理」となった所以として二代目会長の石坂泰三の存在なくしては語れない。石坂泰三は現在粉飾で騒がれている東芝を再建した立役者であり、その功績から経団連会長に就任した。しかもその会長時代は12年間にものぼり、「財界総理」として政財界ともに強い影響を及ぼした人物として知られる。

第4章「「民僚」の原点」
公務員の中には「官僚」と呼ばれる存在もあるが、こういった存在は民間企業にも存在する。いわゆる「民僚(みんりょう)」と呼ばれる存在だが、その最たる人物が石坂泰三の後任として経団連会長となった上村甲午郎である。上村は根っからの調整型で、政財界ともに調整を図っていったことから「民僚」という意味合いを持った。

第5章「政治献金の両義性」
経団連は政治家への献金も行っているという。しかし今回取り上げる人物はその献金とは全く正反対の人物、もっと言うと「献金」そのものを激しく嫌った人物である。その人物は「メザシの土光さん」「荒法師」として名の高い土光敏夫である。そもそも土光氏が経団連会長時代「献金廃止」を宣言したのだが、その顛末は想像に難くない。しかも本章では土光敏夫ならではの経団連運営が光っており、政財界ともに四苦八苦したという。

第6章「スター経営者は財界総理になれない」
スター経営者と言うと今も少なからずいるのだが、かつてそんな存在だったのは、ソニーの盛田昭夫である。盛田は経団連会長になる予定であったのだが、その直前に病に倒れ、逝去してしまった。他にもスターと呼ばれる経営者は数多く存在するのだが、いずれも経団連会長になれなかった。その要因とはいったい何なのか、本章ではそのことについて取り上げている。

第7章「勲章が欲しい老人たち」
国会議員にも世襲があるように、経団連会長にも世襲があった。もちろんそれは親子そろって経団連会長になるというよりも、同じところから会長が輩出するというような状況である。その理由は何か、単純に「勲章が欲しい」だけであり、なおかつ老後に華を添えたいというような人たちばかりであるという。

経団連は今岐路に立たされていることは間違いない。もっとも「財界」そのものの存在意義が問われているのではないかともいえる。もちろん政界と財界はかかわりがないようでいて、戦前の頃から両方の世界が交わることは少なくなかった。とはいえ、今となってはそういったかかわりは必要なのか、これは政界・財界関係なく、考えていく必要がある。そのきっかけとして経団連の存在意義を見直す必要があるのではないだろうか。

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